目次
配属先や上司が合わないと感じたときに、最初に整理したいこと
新しい部署に配属された朝、
まだ慣れない席に座って、冷たい蛍光灯の光を見上げながら
もしかして外れを引いたかもしれない
と胸のあたりがずん、と重くなる瞬間があると思います。
上司の言い方がきつい。
部署の空気が何となくピリピリしている。
同じ失敗でも、人によって扱いが違う気がする。
そういう違和感が積み重なると、だんだん
自分がダメなのか
この配属がハズレなのか
どちらなのか分からなくなっていきます。
ぼくは、いきなりどちらかに白黒をつけるよりも、
まずは次の三つを静かに分けてみるところからが大事だと思っています。
- 変えられないもの
会社の方針、組織構造、上司の根本的な性格など - 自分だけでは変えにくいもの
部署の文化、チーム全体の空気、評価のルールなど - 自分の人柄と行動で少しは変えられるもの
誰とどんな距離で付き合うか、日々の言葉と態度、自分の守るライン
配属先が合わないと感じるとき、
全部を一つの塊として抱えてしまうと、身動きが取れなくなります。
でも、変えられないものと、まだ動かせるものを分けていくと
人柄を武器にできる余白が、少しだけ見えてきます。
人柄は「性格」ではなく「守るライン」として考える
人柄というと、
生まれつきの性格やコミュニケーションの器用さを想像しがちです。
明るくて、社交的で、誰とでもすぐ仲良くなれる人。
いつも笑顔で、場を和ませるのが上手な人。
そういうイメージを持っていると、
自分にはとても無理だ
人柄を武器にするなんて、自分とは別世界の話だ
と感じてしまうかもしれません。
ぼくは、人柄をもう少し地に足のついた言葉に言い換えたいです。
それは
疲れていても、自然と守ってしまうライン
です。
たとえば、こんなラインがあるかもしれません。
- 相手が自分より弱い立場のときだけは、言い方に気をつける
- 約束の時間にどうしても遅れそうなら、ひとこと連絡だけは入れる
- 仕事を振られた時、できないときほど早めに相談する
このあたりは、マニュアルにはほとんど書かれません。
履歴書にも、評価シートにもきちんとは載らない領域です。
でも、長い時間をかけて人の記憶に残るのは、
印象的な一発の言葉よりも、こうした地味な一貫性だったりします。
部署や上司が合わないときこそ、
自分にとってのこのラインを一度思い出しておくと
ここまでは譲る
ここから先は譲らない
という軸が、少しだけはっきりしてきます。
まずは「自分を守る」ためのチェックリスト
人柄を武器にする前に、
そもそも自分のメンタルや体力が持っていないと、攻めどころではありません。
そこで、今の状態をざっくり見える化するためのチェックを用意しました。
深刻な採点ではなく、感覚をつかむために使ってみてください。
今の状態チェック表
それぞれ、心の中で
だいたい当てはまるか
あまり当てはまらないか
を感じてみてください。
| 項目 | 当てはまる | 当てはまらない |
|---|---|---|
| 出社前に行きたくないと感じる日が、週の半分以上ある | ||
| 仕事中、上司や部署の人の顔色ばかり気にしてしまう | ||
| 帰宅後も仕事のことを考え続けてしまい、寝つきが悪い日が増えている | ||
| 自分の責任でないことまで、自分が悪かったのではと過度に思いがちだ | ||
| 部署の中に、弱音を少しだけ打ち明けられる相手が一人も思い浮かばない | ||
| ここで頑張っても報われないかもしれないという感覚が、何度もよぎる | ||
| それでも、こうありたいという自分の人柄の軸は、まだ少し残っている気がする | ||
| 転職サイトや他部署の情報を、現実逃避ではなく選択肢として見るようになっている |
ざっくりで大丈夫なので、
当てはまるが多いか、当てはまらないが多いかを眺めてみてください。
- 当てはまるがかなり多い
→ まずは自衛を優先したい危険ゾーン - 半々くらい
→ 自衛と攻めを両方考えていけるグレーゾーン - 当てはまらないが多い
→ 違和感はあるが、まだ余力がある状態
どのゾーンにいても、
自分を責める材料にする必要はありません。
ここでの役割は、
今の自分に合ったスピードと強さで動くための、目安づくりです。
チェックの結果から選ぶ自衛アクション
チェックしてみて、
危険ゾーンに近いと感じたなら、自衛を優先していいと思います。
例えば、こんな一手があります。
- いきなり全員と距離を詰めない
毎日話す人を一人か二人に絞り、その範囲で丁寧に接する - 残業の上限を、自分なりに決めておく
どうしても超えそうな日は、翌日の予定を軽くしておく - 仕事のメモを細かく残しておく
後から責任を押し付けられにくくするための自衛策 - 身体のサインを優先する
頭痛や食欲不振が続くなら、無理に頑張らない方向の相談を真剣に考える
逆に、余力がまだあると感じたなら、
次の章で触れる攻めの一手も少しずつ混ぜていくイメージで大丈夫です。
それでも残るなら、人柄でできる「攻め」の一手
配属や上司が合わなくても、
今すぐ辞める決断はできない。
でも、このまま耐えるだけではしんどい。
そんなときに使えるのが、
人柄をベースにした静かな攻めの一手です。
ここでの攻めは、
誰かを打ち負かすことではなく
次のチャンスにつながる信頼を少しずつ増やしておくこと
に近いです。
上司との距離を詰めすぎずに、信頼だけ少し残す
相性が良くない上司に、
無理に好かれようとする必要はありません。
ただ、次の三つだけ意識してみると、
敵認定まではされにくくなります。
- 報告だけは早めに、短く済ませる
- 感情ではなく事実ベースで話すように意識する
- どうしても無理なことは、理由と代案をセットで伝える
好き嫌いではなく、
仕事の相手として「そこそこ安心できる人」になるイメージです。
ここを押さえておくと、
上司経由で評価が全て悪くなるリスクを、少し下げられます。
同僚とは「仲良し」より「安心して頼れる」を目指す
部署の同僚との関係は、
無理に全員と仲良くなる必要もありません。
- 期限に困っていそうな人に、できる範囲で一声かける
- 業務上助けてもらったとき、お礼を具体的に伝える
- 自分がミスしたとき、言い訳より先に感謝と改善の話をする
こうした小さな積み重ねが、
この人なら安心して仕事を振れる
この人が困っていたら、自分も助けよう
という感覚をゆっくり育ててくれます。
飲み会に全部出るよりも、
毎日の数秒を丁寧に使うほうが、長い目で見ると効きます。
他部署や外の人との「細い線」を育てておく
今の部署が合わないと感じるときほど、
部署の外に細い線を持っておくことが大事になってきます。
- 他部署との共同プロジェクトで、きちんとしたやり取りを心がける
- 社内チャットでの相談や質問に、余裕のある範囲で丁寧に返す
- 研修や勉強会で出会った人に、お礼メッセージを一通だけ送っておく
これらは、すぐには何も起こらないかもしれません。
でも、異動やプロジェクトの話は、
意外なところからふっとやってきます。
そのときに
あの人なら大丈夫そう
一緒にやってみたい
と誰かの頭に浮かぶかどうかは、
こうした細い線の有無に左右されることが多いです。
今ここで踏ん張るか、静かに機をうかがうか、外へ出るか
部署や上司が合わないときの選択肢は、
雑にまとめると三つに分かれます。
- 今の部署で踏ん張りつつ、状況を改善しようとする
- 大きく動かず、静かに機会をうかがいながら力を温存する
- 外に出る準備を進めて、異動や転職の可能性を本気で探る
それぞれの特徴を、人柄とメンタルの観点からざっくり比べてみます。
三つの選択肢の比較表
| 選択肢 | メンタルへの負荷 | 人柄ネットワークの育ちやすさ | 短期のしんどさ | 中長期のリターン | 必要なエネルギー |
|---|---|---|---|---|---|
| 今ここで踏ん張る | 高くなりやすい | 部署内で育ちやすいが偏りやすい | 大きくなりがち | 部署次第で変動が大きい | 多め |
| 静かに機をうかがう | 中くらい | 部署内と外の両方に細い線を伸ばしやすい | そこそこ | じわじわ効いてくる | 中くらい |
| 外へ出る準備を進める | 一時的に高くなりやすい | 現部署よりも外側に広がりやすい | 忙しくなりがち | 大きく変えられる可能性がある | 多め |
正解は人によって違いますが、
どの選択肢を取るにしても
人柄をすり減らし尽くさない
という前提だけは、共通で持っておきたいところです。
迷ったときは
- 今の自分の体力とメンタルで、現実的に続けられそうなものはどれか
- 半年後の自分が振り返ったとき、いちばん納得できそうな選択肢はどれか
この二つを目安にしてみると、
完全な正解ではなくても、自分なりの一歩は選びやすくなります。
よくある疑問と、少しだけ楽になる考え方
上司と決定的に相性が悪いとき、人柄で何とかできますか
正直に言うと、
人柄だけで全てをひっくり返すのは難しいです。
ただ、
- 感情のぶつかり合いを避ける話し方を覚える
- 必要以上に一対一で向き合いすぎず、仕事の話を中心にする
- 上司以外にも、自分を見てくれている人を増やしておく
こうした工夫で、
直接のダメージを減らすことはできます。
それでもどうにもならない場合は、
外に出る準備を進めることも、立派な自衛だと思います。
人柄を大事にしていると、便利屋として使われませんか
その心配は、たしかにあります。
人が良いからといって、
何でも引き受けていると、負担だけが増えていきます。
そこで大事になるのが、
ここまでは受ける
ここから先は丁寧に断る
というラインを、自分の中で決めておくことです。
人柄の良さは、
境界線のなさとは違います。
むしろ、自分の限界や弱さを理解したうえで
できることを誠実に引き受ける姿勢のほうが
長い目で見て信頼されやすいです。
すでにメンタルがかなり削られていて、動く前に折れてしまいそうです
ここまで読んできて、
どれも正論に見えるけれど、動くエネルギーが残っていない。
そんな状態なら、
自分を責める前に、
- 休む
- 誰かに相談する
- 専門家の助けを借りる
この三つのどれかを、最優先していいと思います。
人柄を武器にするのは、
自分を守るためであって、自分を壊すためではありません。
人柄を武器にしても、まったく評価されない会社にいたらどうすればいいですか
残念ですが、
そういう環境も現実にはあります。
その場合、今の会社での評価だけを尺度にしてしまうと、
人柄を守ること自体が無駄に感じてしまうかもしれません。
ただ、
- そこで身につけた態度や言葉の選び方は、別の場所でも通用する
- 今の自分を未来の自分がどう見ているか、という視点も持っておく
この二つを意識しておくと、
少しだけ心の持ち方が変わります。
どうしても限界を超えていると感じたら、
環境レベルでの変更を本気で考えていい合図です。
まとめ 人柄を武器に、自分を守りつつ働くために
ここまでの話を、あらためて整理します。
- 配属や上司が合わないと感じても、それは必ずしも自分だけが悪いわけではない
- 人柄は、生まれつきの性格ではなく、疲れていても守ってしまうラインとして捉え直せる
- そのラインを軸に、自衛の一手と攻めの一手を分けて設計できる
- 今ここで踏ん張るか、静かに機をうかがうか、外へ出るかは、メンタルと人柄の両方から選んでいい
- どんな選択をするにしても、自分の人柄をすり減らし尽くさないことがいちばん大事
会社や部署は、どうしても運の要素があります。
配属ガチャという言葉が広まるのも、それだけ現場の差が大きいからだと思います。
それでも
ここだけは守る
ここからは攻める
という自分なりのラインを、人柄ベースで決めておくと、
同じ外れに見える配属でも、少しだけ違う物語に変わっていきます。
今日ひとつだけ選ぶとしたら、
こんな小さな一歩はどうでしょうか。
- 守りたいラインを、メモ帳かスマホに一行だけ書いてみる
- いまの部署で、素直に感謝を伝えたい人を一人思い浮かべて、短いメッセージを送ってみる
それだけでも、
人柄を武器にする感覚が、ゆっくり動き始めます。
環境はすぐには変わらなくても、
自分の内側にある人柄の設計図は、今日から少しずつ書き換えられます。





