夜、スマホを握ったまま、気づいたら日付が変わっている。
やりたいことは頭の中にいくつもあるのに、手はひとつも動いていない。
そんな自分が情けなくて、布団の中でため息だけ増えていく。
もしかしたら、あなたも似たような夜を何度もくり返してきたかもしれません。
行動力がない
そう感じると、人はすぐに自分の意志の弱さを責めてしまいます。
でも、本当は少しだけ違います。
行動できないのは、
意志の弱さよりも
脳の負荷が高すぎること
気持ちと体力がばらばらなこと
行動のハードルが必要以上に高くなっていること
この3つが重なっている状態です。
この記事では、行動できない自分を責めるのではなく、
なぜ動けないのかという「しくみ」をひとつずつほどいていきます。
読み終わるころには
大きな決意をしなくても
今日だけ、5分だけなら動けそうだ
そう思ってもらえることを目指して書いていきます。
目次
行動できない日には、必ず理由がある
まず、はっきりさせておきたいことがひとつあります。
行動できない日は、かならず理由があります。
何となくサボっているように見えても、心と頭の中ではちゃんと理由が動いています。
頭の中で起きていること
行動できない時、頭の中ではこんなことが同時進行しています。
・やりたいことが3つ以上並んでいる
・どれから手をつけるか決められない
・やるべきことまで混ざってきて、気持ちが重くなる
・失敗した時の不安のイメージだけははっきりしている
こうして
タスクの数
優先順位
不安の予想
この三つがごちゃ混ぜになると、脳は最初の一歩を選べなくなります。
朝、机にノートを開いて、ペンを手に取ったのに、最初の一文字がなかなか出てこない。
仕事から帰ってきて、パソコンを開いたのに、つい別のタブで動画サイトを開いてしまう。
それは意志が弱いのではなく、
行動の前に処理しなければならない「考えごと」が多すぎる状態です。
行動力は気合いではなく「余白」の問題
行動力というと、どうしても気合いや根性のイメージが強くなります。
けれど、実際にはその逆です。
・考えなくていいことを減らす
・選ばなくていい選択肢を減らす
・やらなくていい期待を減らす
こうして、頭の中の余白を増やしていくほど、行動は自然に軽くなります。
だから、動けない自分を責めるよりも先に
「いま頭の中は、どれくらい詰まっているだろう」
と、そっと確認してあげることが大切になります。
小さく動けば十分である理由
行動できない日ほど、人は完璧を目指してしまいます。
せっかくやるなら、ちゃんとやりたい
中途半端に始めるくらいなら、今日はやめておこう
こうしてハードルを上げたまま時間だけが過ぎていきます。
完璧主義は「スタート地点」を壊してしまう
完璧主義そのものは悪いものではありません。
丁寧に取り組みたい気持ちがあるからこそ、人生の質が上がる場面も多いからです。
ただ、問題はタイミングです。
完璧主義がいちばん邪魔をするのは
・まだ始めてもいない
・まだ上手くなる前
この二つの段階です。
スタート地点からゴールまでを、最初から全部見ようとすると
距離の長さに圧倒されて、足が止まってしまいます。
本当は
5メートルだけ歩いてみる
今日だけ、一段だけ登ってみる
それで充分なのに、いきなり山頂を目指してしまうのです。
行動のスイッチは「5分の着火」で足りる
行動の初速に必要なのは、長時間の集中ではありません。
たった五分だけの着火で、エンジンは動き出します。
・ノートに一行だけ書く
・資料を1ページだけ読む
・筋トレを一種目だけやってみる
5分だけやる
一つだけやる
触るだけやる
この程度の小ささでも
「やった側」に自分を置き直す力があります。
一度「今日もゼロだった」という日を
「少なくとも五分は動けた」に書き換えることができれば
自己否定の連鎖は、そこでいったん切れます。
その小さな成功の積み重ねが、数週間後には
「行動できる自分のほうが当たり前」
という感覚につながっていきます。
行動力を奪う「見えない疲労」に気づく
行動力の話をするとき、もうひとつ見落とされやすい要素があります。
それが、見えない疲労です。
肉体的にはまだ動ける
寝不足でもない
なのに、何かを始めようとすると急に心が重くなる
そういう時、消耗しているのは体ではなく「感情」です。
判断疲れ、比較疲れ、選択疲れ
感情疲労には、いくつかの種類があります。
・今日一日、細かい判断をくり返しすぎた判断疲れ
・SNSなどで他人と自分を比べすぎた比較疲れ
・選択肢を抱えたまま決められない選択疲れ
これらは目に見えない疲労なので
「自分はまだ動けるはずだ」
と、無理に上乗せしようとしてしまいがちです。
そのままを続けると、ある日いきなり何もやりたくない感覚に飲み込まれます。
動けない日は「休むこと」が行動になる
感情疲労が強い日には
あえて行動を増やさない
という選択が、もっとも賢い判断になることもあります。
・予定をひとつ減らす
・スマホを机に置いて、5分だけ目を閉じる
・やらないことリストを一行だけ書く
何かを「やる」だけが行動ではありません。
やらないことを決めるのも、立派な行動です。
動けない自分に対して
さぼっている
ダメだ
と烙印を押す前に、
「今日は疲労のほうが勝っている日かもしれない」
と、そっと認め直してあげる。
その一行の認識の違いが、心を守りながら前に進むための土台になります。
行動力は「設計」で取り戻せる
ここまでをまとめると、行動力を奪っているのは
・頭の中の詰まり
・完璧主義によるハードルの高さ
・見えない感情疲労
この三つの組み合わせでした。
つまり、行動力は性格や才能ではなく
「日々の設計」を変えることで、誰でも取り戻せるものです。
ここからは、そのための具体的な設計を三つに絞っていきます。
1 タスクを三つに割る
ひとつの大きなタスクを抱え続けると、脳はそれだけで圧迫されます。
・記事を書く
・勉強する
・片付ける
こういった大きな塊は、必ず三つに割ってみてください。
例として、記事を書くなら
・構成だけ考える
・リード文だけ書く
・一つの見出しだけ書く
このように分解してしまう。
三つに割ることで
どれから手をつければいいかが見えやすくなり
一つ終わるごとに、小さな達成感を得られます。
2 5分だけ触る
タスクを三つに割ったら、次は「5分だけ触る」をセットにします。
・構成を5分だけメモする
・テキストを5分だけ読む
・机の上の一か所だけ片付ける
ここで大事なのは、終わらせようとしないことです。
5分だけ触ったら、やめてしまってもかまいません。
その五分のあいだに、頭はすでに
「今日も少しは進んだ」
という経験を刻みます。
この経験が蓄積すると
行動しない自分
よりも
少しだけは動く自分
に、自己イメージが切り替わっていきます。
3 明日の自分が喜ぶ一歩を選ぶ
最後に、行動の選び方です。
今の自分が楽な選択ではなく
明日の自分が喜ぶ選択をひとつだけ選ぶ
この基準を持つと、行動の質が静かに変わります。
・明日の朝、少しだけ楽になるように、今日のうちにカバンだけ準備する
・明日の仕事が5分早くスタートできるように、資料だけ机に出しておく
・明日の自分が「やっておいてよかった」と思えるメモを一行残す
どれも小さな行動です。
でも、翌朝目が覚めた時に、少しだけ世界の見え方が変わります。
その繰り返しが
「自分はちゃんと前に進めている」
という静かな自信を育ててくれます。
今日だけ動ける一歩を見つける
ここまで読んでくださったあなたは、きっと何度も
行動したいのに動けなかった経験
を味わってきたのだと思います。
夜、部屋の明かりだけがついた静かな時間。
ソファに座ったまま、天井を見上げて、
このままでいいのかと胸が重くなる。
そんな自分を責め続けてきたかもしれません。
けれど、今日からは少しだけ視点を変えてみてください。
行動力がない自分
ではなく
行動するための設計がまだ最適化されていない自分
と、捉え直してみるのです。
そのうえで、今日の一歩を決めるなら、次の流れがわかりやすいかもしれません。
・いま頭の中にある「やらなきゃ」を紙に3つ書く
・そのうち一つだけ丸をつける
・丸をつけたものを3つに割る
・そのうちの一つに5分だけ触る
これだけで、今日という一日は
「何もしなかった一日」から
「少なくとも5分は、前に進めた一日」へと意味が変わります。
結論、行動力は、あなたの弱さではなく「設計の問題」だった
行動できない日が続いても、あなたの価値が下がるわけではありません。
ただ、頭の中が少し詰まりすぎていて
完璧を目指すあまりスタート地点が遠くなっていて
見えない疲労が、静かにブレーキを踏んでいただけです。
行動力は、意志の強さだけで決まるものではありません。
・タスクを3つに割ること
・5分だけ触ること
・明日の自分が喜ぶ一歩を選ぶこと
この3つを、今日だけ試してみてください。
大きく変わらなくてかまいません。
今日の終わりに
「少なくとも、あの5分は動けたな」
と、思えたなら、それは立派な一歩です。
その小さな一歩を、明日も、明後日も積み重ねていけば
いつか振り返ったとき
行動力がないと思っていた自分は
ただ、やり方を知らなかっただけだった
そう静かに笑える日が、きっとやってきます。





