「来年こそ変わりたい。」
年末年始になると、毎年この言葉が胸に浮かびます。
今年はさすがに変わりたい。今度こそ習慣を作りたい。仕事も生活も、もう少し自分の手に戻したい。
なのに、年が明けて少し経つと、いつものリズムに戻ってしまう。
三日坊主で終わる。忙しさに飲まれる。気づけば「また今年も同じだ」と静かに落ち込む。
たぶん一番つらいのは、失敗そのものよりも、こういう感覚です。
「また変われない気がする」
「今年も自分にがっかりしそう」
「変わりたいのに、どこから手をつければいいか分からない」
ここで、ひとつだけ逆張りを置きます。
変われないのは、意志が弱いからではありません。
準備が設計されていないからです。
年始のやる気は、強いです。
でも、それは揮発します。仕事が始まった瞬間、寒さが続いた瞬間、予定が崩れた瞬間に、簡単に消えます。
残るのは、仕組みだけです。
だから、年末年始にやるべきことは「決意」より「準備」です。
この記事では、来年こそ変わりたい人が年末年始にやるべき準備を、実行できる順番で整理します。
大きく変える話ではなく、「今の自分のまま」でもできる小さな準備を積み重ねる設計です。
読み終わるころには、
・なぜいつも失速するのか(原因が自分責めではなく構造として見える)
・どんな準備をすれば失速しにくいのか(チェックリスト化できる)
・今日できる一歩が何か(最小行動が決まる)
ここまでが、はっきりするはずです。
目次
来年こそ変わりたいのに続かないのはなぜか
まず最初に、失速の理由を「人格」ではなく「構造」で見ます。
ここが見えると、変化が急に現実的になります。
多くの場合、続かない理由はこの5つに集約されます。
- 目標が大きすぎて、日常の行動に落ちていない
「痩せる」「転職する」「勉強する」など、目標は立派でも、今日やる行動が決まっていない。 - やる気に頼り、環境を変えていない
疲れている日でも続く仕組みがないと、強い意志が必要になります。意志は毎日は出ません。 - 失速したときの復帰ルールがない
3日空いた瞬間に「もうダメだ」と感じて、自然消滅します。これが三日坊主の正体です。 - 一人で抱えて、誰にも頼らない
悩みが深い人ほど、他人に頼れない。頼れないほど、継続は難しくなります。 - 境界線がなく、予定が飲まれる
仕事や人間関係に引っ張られると、自分の時間が残りません。「余白」がないと習慣は育ちません。
ここで大切なのは、どれも「性格の欠陥」ではないということです。
むしろ、真面目で頑張る人ほど、この構造にハマります。
だから、やるべきことは「もっと頑張る」ではなく、
頑張らなくても続く準備を先に作ることです。
変化は「熱量」より「仕組み」
年始に燃えるのは悪いことではありません。
ただ、燃えた分だけ失速すると、傷つきます。
変化は、気合の大きさではなく、仕組みの小ささで決まります。
小さくて、誰でも、疲れていてもできる。
それが積み上がったときだけ、現実が変わっていきます。
このあと「準備チェックリスト」を7つに分けて出しますが、
一番最初にやるべき準備は、これです。
準備1:今年の「失速ポイント」を3つだけ特定する
来年を変えるために、まずやるべきことは「理想」を描くことではありません。
先に「失速する場所」を特定します。
なぜなら、ほとんどの人は同じ場所で失速するからです。
今年失速した場所は、来年もほぼ同じ条件で発生します。
だから、失速ポイントを先に知っておくと、来年の自分を守れます。
ここでいう失速ポイントは、こんなものです。
・忙しくなった瞬間に全部崩れた
・疲れて帰った夜に、何もできなくなった
・完璧主義が出て、1回抜けただけで「もう無理」になった
・人間関係のストレスで、習慣どころじゃなくなった
・予定が増えて、自分の時間が消えた
・成果が出ない焦りで、別のことに逃げた
このうち、あなたの「いつもの崩れ方」を3つだけ選びます。
多くしないのがコツです。3つで十分です。
ミニワーク:失速ポイントを責めずに構造化する
紙でもメモでもOKです。
次の3つだけ書きます。
(1) 続かなかったこと(または途中でやめたこと)
例:運動/勉強/発信/家計管理/早寝/読書
(2) その直前に起きていたこと(環境・出来事・体調)
例:残業が続いた/寒くなった/人間関係で消耗した/予定が詰まった/睡眠が削れた
(3) そこで必要だった助け or ルール
例:5分だけにする/休む日を決める/復帰の1分ルール/誰かに報告する/週末に仕切り直す
ポイントは、「自分がダメだった」ではなく、
失速が起きる条件として書くことです。
失速は失敗ではありません。
復帰の設計がない状態で、ただ自然に起きただけです。
ここまでのまとめ
準備1は、派手ではありません。
でも、ここを飛ばすと来年も同じ場所で崩れます。
逆に言えば、失速ポイントが見えた瞬間から、
「変わりたい」が「変われるかもしれない」に変わります。
次の章では、準備2として、
目標を行動の粒に落とす方法(大→小)を具体例つきで書きます。
準備2:目標を「行動の粒」にする(大→小)
失速ポイントが見えたら、次にやるのは目標の作り直しです。
来年こそ変わりたい人ほど、目標が立派すぎることが多いです。
たとえば、こういう目標。
・英語を話せるようになる
・転職を成功させる
・痩せて理想の体になる
・副業で稼ぐ
・毎日発信する
どれも素晴らしいです。
でも、この目標は「今日、何をすればいいか」が曖昧です。
だから、やるべき準備はこれ。
目標を行動の粒にして、今日の行動に落とす。
ポイントは、最小行動を「やらない方が難しいサイズ」にすることです。
たとえば、こう変換します。
・英語を話せるようになる
→ 通勤中に英語音声を5分聞く
→ 1日1フレーズだけ口に出す
・転職を成功させる
→ 求人を1日1件だけ見る
→ 週1回だけ職務経歴書を10分触る
・痩せる
→ 寝る前にストレッチ1分
→ 週2回、帰宅後に散歩10分
・副業で稼ぐ
→ 毎日15分だけ作業時間を確保する
→ 週1本だけ、短くてもいいから書く
・毎日発信する
→ 1日1行メモ
→ 週2投稿でいい(最初から毎日にしない)
最初の目標は弱くていいです。
弱い目標の方が勝ちます。続くからです。
年始の勢いで「でかい目標」を掲げるより、
「小さすぎる行動」を決めた人の方が、気づけば変わっています。
準備3:「やること」より先に「やめること」を決める
変化は足し算ではありません。
まず引き算です。
習慣を増やす前に、「新しい自分の時間」を作る必要があります。
その時間は、どこかから捻出しなければいけません。
だから、準備3はこうです。
やることより先に、やめることを1つ決める。
候補はたいてい、ここにあります。
・SNSをだらだら見る時間
・寝る前のスマホ
・惰性の動画視聴
・「断れずに受ける」予定
・必要以上の残業
・義務感の飲み会や誘い
ここで怖いのは、「やめる=失礼」だと思ってしまうことです。
でも、やめない限り、来年も同じ生活に戻ります。
やめるために必要なのは、気合ではなく境界線です。
「今日は行けません」
「今月は余裕がないので」
「この日は用事があります」
用事の中身は、休息でも、睡眠でも、未来の準備でもいい。
自分の人生のための時間は、ちゃんと用事です。
準備4:環境を先に整える(努力を減らす)
続く人は、頑張っていません。
頑張らなくてもできる環境にしています。
だから準備4は、努力の代わりに環境を使うことです。
コツはひとつ。
やりたい行動が「最短1手で始まる」状態にする。
具体例を並べます。
・運動したい
→ ウェアを見える場所に置く
→ 靴を玄関に出しておく
→ ストレッチマットを敷きっぱなしにする
・勉強したい
→ 教材を開いた状態で置く
→ スマホのホーム画面に学習アプリだけ置く
→ 通勤用の音声を事前にダウンロードしておく
・発信したい
→ 書く場所(メモ/Notion/下書き)を固定する
→ 1投稿のテンプレを用意する
→ ネタ帳を先に作る(思いついたら放り込むだけ)
・早寝したい
→ 寝室からスマホを遠ざける
→ 充電場所をベッドから離す
→ 寝る前のルーティンを1つだけ決める(白湯、ストレッチ、照明を落とすなど)
努力が必要な状態は、続かない状態です。
環境が整っていれば、体が勝手に動きます。
準備5:失速した時の「復帰ルール」を書いておく
ここが最重要です。
復帰ルールがない人は、ほぼ確実に三日坊主になります。
続く人は、サボらない人ではありません。
サボったあとに戻れる人です。
だから準備5はこうです。
失速した時の復帰ルールを、先に1行で書く。
おすすめの型はこの3つです。
・3日空いたら「1分だけやる」
・崩れた日は「記録だけする」
・週末に「仕切り直しの10分」を入れる
例を置きます。
・運動が途切れたら:ストレッチ1分だけでOK
・勉強が途切れたら:教材を開くだけでOK
・発信が途切れたら:1行メモだけでOK
復帰の条件を低くするほど、戻りやすくなります。
「完璧に戻る」ではなく、
「ゼロにしない」ためのルールです。
準備6:他人に頼る設計を入れる(孤独対策)
悩みが深い人ほど、ひとりで頑張ろうとします。
そして、ひとりで頑張るほど、続きません。
だから準備6は、精神論ではなく仕組みです。
頼る=甘えではなく、継続装置。
頼り方は、軽くていいです。
・友人に週1で「今週これやった」を送る
・コミュニティに参加して、空気だけ吸う
・SNSで進捗を短く書く
・伴走者(相談相手/コーチ/カウンセリング)を検討する
人に話すだけで、整理されます。
言語化するだけで、習慣は守られます。
「ひとりで抱える」状態は、失速ポイントになりやすい。
だから先に、外部の線を一本だけ引いておく。
これが来年の自分を救います。
準備7:「1月の落とし穴」を先に潰す
年始は、変わりやすい時期です。
でも同時に、崩れやすい時期でもあります。
理由は単純です。
・予定が変則(帰省、挨拶、休み明け)
・寒さで体が動かない
・仕事再開の負荷が強い
・年末年始の疲れが残る
・やる気はあるのに現実が追いつかない
だから、準備7は「1月の現実」に合わせた設計です。
おすすめはこれ。
1月は70%運用でいい、と決める。
具体例。
・毎日運動→週2でOK
・毎日勉強→週3でOK
・毎日発信→週2でOK
・毎日早起き→平日だけでOK
さらに、繁忙週のために維持モードも用意します。
維持モード例:
・1分だけやる
・記録だけする
・教材を開くだけ
・5分散歩だけ
1月は「突っ走る月」ではなく、
「折れない設計にする月」です。
補助アイテム:Amazonで「変える」人気の手帳2選
準備7で「1月の落とし穴」を潰したら、次は続ける行動を受け止める器を用意すると、失速率がさらに下がります。
手帳は、やる気の代わりに「復帰」と「見える化」を担当してくれる道具です。ここではAmazonで動きが強い定番を2つだけ選びます。
ほぼ日手帳 Weeks(週間レフト+メモで最小行動が続く)
週間ページが「左=予定/右=メモ」になっていて、準備2の行動の粒を毎日1行で置きやすいタイプです。
おすすめの使い方はシンプルです。
・左:予定(仕事/家族/通院など現実)
・右:最小行動(1分ストレッチ、1フレーズ音読、1行メモ)
・失速した日:空白でOK。代わりに「復帰ルール」だけ書く(例:明日は1分だけ)
高橋書店 デスクダイアリー(A5の見開きで仕事×生活を現実運用に落とす)
「仕事が始まった瞬間に崩れる」タイプの人は、生活側だけの手帳だと負けやすいです。
デスクダイアリー系は、仕事の予定とタスクを同じ視界に置けるので、準備3(やめること)と準備7(70%運用)が守りやすくなります。
おすすめの使い方はこれです。
・週の最初に「今週は70%運用」と書く(1月の現実モード固定)
・その週の最小行動を1つだけ書く(多くしない)
・週末に10分だけ見返して「失速ポイント」を更新する(準備1の継続)
この2冊のどちらでもOKですが、選び方を一言でまとめるならこうです。
・最小行動を毎日1行で続けたい → ほぼ日Weeks
・仕事に飲まれて崩れやすい/週で立て直したい → 高橋デスクダイアリー
FAQ
Q:やりたいことが分からないです
A:いきなり理想を作らなくて大丈夫です。「避けたい未来」から逆算すると見えます。
例:来年も同じ後悔をしたくない/体調を崩したくない/人間関係で潰れたくない
そこから「守りたいもの」を決めて、最小行動に落とせばOKです。
Q:モチベが続きません
A:続けるために必要なのはモチベではなく、環境と復帰ルールです。
やる気が落ちる日は必ず来ます。来る前に「戻り方」を決めておくと、続きます。
Q:忙しくて時間がありません
A:時間を作るより、行動を小さくしてください。
「1日30分」ではなく「1日1分」。
そして、やめることを1つだけ決める。これが現実的です。
Q:三日坊主が怖いです
A:三日坊主は失敗ではなく、復帰設計がないだけです。
途切れることを前提にして、「戻るルール」を作ると怖さが消えます。
まとめ:変化は「準備」で決まる
来年こそ変わりたい人が、年末年始にやるべき準備は7つです。
- 失速ポイントを3つ特定する
- 目標を行動の粒にする
- やる前にやめることを決める
- 環境を先に整える
- 復帰ルールを1行で書く
- 頼る設計を入れる
- 1月の落とし穴を先に潰す
全部を一気にやらなくて大丈夫です。
今日できる一歩は、これだけで十分です。
・失速ポイントを3つ書く
・最小行動を1つ決める
・復帰ルールを1行書く
最後に、ひとつだけ問いを置きます。
あなたの来年を変えるために、まず削るべきものは何でしょうか。
その答えが見えた瞬間から、
「来年こそ変わりたい」は、少しずつ現実になります。







