ここ数年、それなりに頑張ってきたはずなのに。
ふと電車の窓に映る自分の顔を見た時、「結局、何も変わっていないんじゃないか」と胸のあたりがスッと冷えることはありませんか。
・残業もした
・本も読んだ
・資格の勉強も、少しは続けた
なのに、肩書きも収入も、周りの評価も大きく変わっていない。
SNSを開けば、転職成功や年収アップの報告が流れてきて、「自分だけ止まっているような感覚」が強くなる。
この「成長していない気がする」感覚は、ただの愚痴ではなく、心にとってはかなり負荷の大きい状態です。放っておくと、
・何をやってもどうせ意味がない
・挑戦の誘いが来ても、最初から断る理由を探してしまう
・自分のことを振り返るのが怖くなる
という心の停滞モードに入っていきます。
この記事では、
・なぜ成長実感が消えてしまうのか
・それは本当に「成長していない証拠」なのか
・今日からできる、成長実感を取り戻すための具体的なステップ
を、できるだけ具体的に整理していきます。
「この数年、何も変わっていない気がする」と感じているなら、ここから先の話は、きっとあなたのためのものです。
目次
1|まず結論。「成長実感がない」=「成長していない」ではない
最初にいちばん大事なことを言うと、
成長実感がないことは、
「あなたが何も成長していない」という証拠ではありません。
多くの場合、それは
・比較している相手がズレている
・変化を記録していない
・成長が見えにくいフェーズにいる
この三つが重なっているだけです。
たとえば、昔の自分ではなく「理想の自分」とだけ比較してしまうと、何がどれだけ進んでいても、永遠に0点に見えます。
また、成長はいつも「グラフの右肩上がり」ではありません。
・基礎を積み直す期間
・伸びが一旦ゆるやかになる中級者ゾーン
・成果が表に出るまでタイムラグが大きいフェーズ
こういった時期には、実際には前に進んでいるのに、「変わっていない」「むしろ下がっている」と感じやすくなります。
だからこそ、成長実感を取り戻すには、
・何と比べているのか
・どこを変化としてカウントするのか
この二つを、意識的に測り直す必要があるのです。
2|成長実感が消えるメカニズム|心が「停滞モード」に入るまで
成長実感がなくなる背景には、いくつか共通するパターンがあります。
■ 比較の軸が「他人」と「理想像」だけになる
SNSや社内のスター、同年代の「成功している人たち」とだけ自分を比べていると、
・「前よりマシになった自分」ではなく
・「まだ全然足りない自分」
ばかりが目に入ります。
頭では「比べても意味ない」と分かっていても、感情のレベルではどうしても引っ張られる。これが静かに自己肯定感を削っていきます。
■ 成長を測るものさしが曖昧なまま走っている
「もっとできるようになりたい」「成長したい」という気持ちは大事です。
ただ、それが
・どのスキルを
・どのレベルまで
・どれくらいの期間で
という具体的な形になっていないと、何をどれだけやっても「まだ足りない」という感覚しか残りません。
■ 成長が見えにくいフェーズにいる(中級者の壁)
初心者の頃は、できることが増えていくスピードが速いので、変化が分かりやすいですよね。
・初めてのプレゼン
・初めてのプロジェクト担当
・初めての資格合格
ところが、ある程度慣れてきて「中級者」になってくると、
・ミスを減らす
・精度を上げる
・スピードを上げる
といった、目に見えにくい変化が中心になっていきます。
この段階で「成長=派手な成果」とだけ思っていると、「最近、何も成長していない」と感じやすくなるのです。
■ 評価されない経験とセットで、「自分は伸びていない」に書き換わる
昇進しない、給料が上がらない、フィードバックもほとんど返ってこない。
こうした経験が続くと、本当は少しずつ伸びていても、
「評価されない → つまり成長していない → つまり自分には価値がない」
という物語が、頭の中で自動的に組み上がってしまいます。
成長実感の欠如は、この「内側の物語」とも深く結びついているのです。
3|心の停滞が起きているサイン
次のような状態が続いているなら、心はすでに「停滞モード」に入りかけています。
・新しいことを始めようとすると、「どうせ続かないし」と先に諦めてしまう
・成長している人を見ると、尊敬より先にイライラが出る
・誘いが来ても、「忙しいから」「今じゃない」と断る理由ばかり探してしまう
・過去の自分の頑張りを振り返るのが、なんとなく怖い
このあたりが重なっているなら、
「成長していない自分を責める」段階から、
「何もしないことで自分を守ろうとする」段階に入りつつあります。
ここで大事なのは、
自分を責める速度を、いったん落としてあげることです。
そのためにできることを、ここから具体的に見ていきます。
4|成長実感を取り戻すための5つのステップ
ここからは、「成長実感がない」状態から抜けるための具体的なステップを5つに分けて整理します。
ステップ1、比較対象を「過去の自分」に戻す
いきなり「比較をやめろ」と言われても、人間なのでなかなか難しいですよね。
なので、まずは比較の相手を、
・理想の自分や他人 → 過去の自分
に戻すところから始めます。
例えば、こう問いかけてみてください。
「1年前の自分から見たら、今の自分はどこがマシになっているだろう?」
・前よりうまく説明できるようになった
・任される仕事の難易度が上がった
・トラブルが起きた時の対処が早くなった
細かく見ていくと、「ゼロではない変化」が必ずあります。
ステップ2、成長を細かく分解して記録する
成長実感がない人の多くは、「できる/できない」の二択で自分を評価しています。
ここを、
・どこまでできるようになったか
・どこまでなら安定してできるか
というグラデーションで見るだけでも、感覚は変わってきます。
成長ログとして書きやすいのは、次のような項目です。
・やらなくなったこと(無駄な作業、自己否定の口ぐせ など)
・時間の使い方(ダラダラしていた時間が減った/増えた)
・人との関わり方(前より断れるようになった、相談できるようになった 等)
・感情の回復スピード(落ち込んだ時に立ち直るまでの時間)
寝る前に1〜3行でいいので、「今日の変化」を書いておくと、数週間後に振り返った時にじわっとした成長が見えてきます。
ステップ3、マイルストーンを低めに設定し直す
成長実感がない人ほど、目標が高すぎるか、遠すぎるか、その両方であることが多いです。
・年収を100万円上げる
・英語をペラペラにする
・フリーランスとして独立する
もちろん素敵な目標ですが、「今週/今月レベルの一歩」に落ちていないと、達成感はほとんど得られません。
そこで、
「この1ヶ月で、ここだけ変わればいい」
という一点突破のマイルストーンを決めてみてください。
例)
・毎週1回だけ、上司に自分から進捗を共有する
・毎週1冊、仕事に関係する本の要点だけメモする
・週1日は、残業せずに帰る日を死守する
達成のハードルを少し下げて、「できた回数」を積み上げていくことで、ゆっくりと成長実感が戻ってきます。
ステップ4、第三者の目で「変化の部分だけ」を確認する
自分のことは、自分がいちばん見えなくなるものです。
信頼できる人がいるなら、こう聞いてみてください。
「ここ1〜2年で、前より変わったなって思うところある?」
返ってくる言葉は、
・自分では大したことないと思っていた変化
・「そこも成長なんだ」と気づけるポイント
であることが多いです。
他人の目から見た変化を知ることは、「自己評価のゆがみ」を整える手がかりになります。
ステップ5、あえて「伸びなくていい領域」を決める
すべての分野で成長しようとすると、どこも中途半端にしか伸びず、「結局、何も変わっていない」という感覚が強くなります。
そこで、
「今年はここだけ伸びればOK」
「この領域は、あえて現状維持でいい」
と決めてしまうのも、大事な戦略です。
伸ばすべきところと、伸ばさなくていいところを分けることで、成長の集中投資ができるようになります。
5|それでも伸びない分野との付き合い方
それでも、「どうしても伸びている実感が持てない分野」は出てきます。
ここでいきなり、
「向いてないから全部やめる」
と決めてしまう前に、次の3つの視点を通してみてください。
・環境が合っていないのか
・教わり方が合っていないのか
・そもそも、どのくらい本気で伸ばしたいと思っているのか
「悔しい」「本当はもう少しできるようになりたい」と感じるなら、まだ粘る余地があります。
逆に、
「言われたからやっているだけで、別に自分の軸ではない」
と感じるなら、その分野は「サブスキル」として位置づけ直すのも一つです。
メインではなく、支える役割のスキルとして見ると、成長のハードルも、求めるレベルも変わります。
6|成長実感と「評価される/認められる」の関係
成長実感の話をするときに避けて通れないのが、「評価」の存在です。
・昇進
・給料
・表彰
・上司やクライアントからのフィードバック
こうした外側の評価はもちろん大事です。生活にも直結します。
ただ、評価には必ず「タイムラグ」があります。
今日インプットしたことが、明日の評価に直結することはほとんどありません。
多くの場合、
・3ヶ月後
・半年後
・1年後
といったタイミングで、ようやく目に見える形になって返ってきます。
だからこそ、
・評価を完全にコントロールしようとしすぎないこと
・評価がついてくるまでの期間、自分で自分の変化を認めること
この二つが、とても大切になります。
外側の評価だけに成長実感を預けてしまうと、
・評価されない=成長していない
・成長していない=自分には価値がない
という危険な一本道になってしまいます。
内側に、自分なりの「成長のものさし」を持てるようになると、評価に振り回されにくくなり、長い目で自分のキャリアを見られるようになっていきます。
まとめ|成長実感は「勝手に湧くもの」ではなく、「つくるもの」
ここまで読んでくれたあなたに、最後にもう一度だけ伝えたいことがあります。
成長実感は、
何もしなくても勝手に湧いてくる感情ではありません。
・比較する相手
・変化の捉え方
・目標の粒度
・記録の仕方
これらを意識的に整えることで、少しずつ「感じやすくなるもの」です。
今日からできることを、あえて3つだけ挙げるなら、
1)半年前の自分と比べて、「今の自分のほうがマシなところ」を3つ書き出す
2)今月だけでいいので、「ここだけ変わればOK」という一点突破の目標を決める
3)信頼できる人に、「前より変わったと思うところある?」と一度だけ聞いてみる
このどれか一つだけでも、十分すぎるくらいの一歩です。
「この数年、何も変わっていない気がする」と感じる夜が、
「ちゃんと少しずつ変わってきていたんだ」と気づくきっかけになりますように。
そして、もし「努力しても認められない」という感覚も同時に抱えているなら、評価との付き合い方について整理した記事も、あわせて読んでみてください。
成長と評価、その両方との距離の取り方が整っていくほど、あなたの心は少しずつ、軽くなっていきます。





