朝、PCを開いた瞬間から、通知が積み上がります。
Slack、メール、カレンダー。
会議は並んでいるのに、どれも「決まった感じ」がしない。
会議は終わった。
タスクも増えた。
それなのに、なぜか前に進んだ手応えだけが残らない。
そんな感覚を覚えたことはないでしょうか。
この違和感の正体は、能力不足でも、努力不足でもありません。
多くの場合、イシューが設定されていないだけです。
イシューとは、簡単に言えば
「いま解く価値が最も高い問い」のことです。
問題が山ほどあっても、
タスクが無限にあっても、
本当に決めるべき問いが一つ定まれば、
仕事は驚くほど静かに進み始めます。
逆に言えば、
イシューがないまま進む会議は、
どれだけ議論しても「各論の正しさ」を交換して終わります。
だから時間は伸び、結論は先送りされ、
「それも大事ですね」で場が閉じてしまうのです。
この記事では、
- イシューとは何か
- 問題・課題・タスクとの違い
- 会議や仕事で使えるイシュー設定の型
- イシューが弱いときに起きる失敗と、その直し方
を、仕事の現場に即して整理します。
難しいフレームや才能は必要ありません。
必要なのは、
「今日は何を決める場なのか」を
一文で言語化する視点だけです。
読み終えたとき、
あなたは今日の仕事に対して
「何から手をつけるべきか」を
迷わず一行で書けるようになります。
目次
イシューとは「いま解く価値が最も高い問い」です
イシューは、問題を解く前に「どこを問うか」を決める問いの芯です。
イシューが立つと、優先順位と捨てる判断が同時に決まります。
最初の一手は「今日、何を決める会議か」を1文にすることです。
ここで言うイシューは、格好いい言葉ではありません。
現場の仕事を進めるための「焦点合わせの技術」です。
仕事が詰まるとき、たいてい人は「タスクが多すぎる」と感じます。
でも実際は、タスクが多いこと自体が問題というより、タスクの前に置くべき問いが未設定なことが多いです。
イシューが決まると、次の3つが起きます。
- 迷いが減ります(選択肢が削られます)
- 会議が短くなります(議論が一点に集まります)
- 成果が出やすくなります(検証が前に進みます)
逆に、イシューがないと「各論の正しさ」を交換して終わります。
話は盛り上がるのに、意思決定が起きません。
それが積み重なると、会議は長くなり、結論は先送りされ、疲れだけが残ります。
イシューがない状態のサイン(現場あるある)
次のうち、2つ以上当てはまるなら、まずイシューを疑ってください。
・会議で「それも大事ですね」が3回以上出る
・議事録がやることメモで終わり、決定事項が薄い
・打ち手が増えるほど、全体が遅くなる
・人が頑張っているのに、成果の手応えがない
・「結局なにを決めたい会議でしたっけ」が出る
問題・課題・タスク・イシューの違い
問題は「困っている現象」、課題は「取り組むテーマ」、タスクは「作業単位」です。
イシューは「解く順番を決める問い」で、ここが定まると迷いが減ります。
タスクに落とす前に、イシューを1文で固定するのが最短です。
言葉が混ざると、仕事が崩れます。
混ざった状態で走ると、努力が散ります。
表で一度、整流しておきます。
| 用語 | 何を指す | 仕事の例 | つまずきポイント |
|---|---|---|---|
| 問題 | 現象 | 会議が長い | 原因を飛ばして対策会になる |
| 課題 | テーマ | 生産性を上げたい | 広すぎて着手できない |
| タスク | 作業 | アジェンダ作成 | 目的不明タスクが増える |
| イシュー | 問いの芯 | 今日なにを決める? | 問いが弱くて結論が出ない |
ここで大事なのは、イシューが「答え」ではないことです。
イシューは、答えを出すための問いの選び方です。
問題が見えても、問いがズレていれば、正しい努力が無駄になります。
だから先に、問う場所を決めます。
会議が短くなる「イシュー設定」5ステップ
型は「現象→目的→制約→問い→捨てる」です。
ポイントは意思決定できる問いにすることです。
最後に「今日は決めないこと」を言語化すると、会議が締まります。
この手順は、会議だけではなく、企画・改善・トラブル対応にもそのまま使えます。
現場で効くのは「問いを立てる」より、むしろ「問いを削る」側です。
ステップ1 現象を1行で書く(事実ベース)
悪い例:会議がダラダラしている
良い例:会議が毎回延長し、決定事項が残らない
この時点では、感情を入れない方が強いです。
「ムカつく」「疲れる」は大事なサインですが、まずは事実に戻します。
ステップ2 目的を決める(何が決まれば勝ちか)
例:次のアクションと担当と期限を確定する(今日中に)
目的が曖昧だと、会議は会話の場になります。
目的が明確だと、会議は意思決定の場に戻ります。
ステップ3 制約を書く(時間・権限・材料)
例:会議時間30分、参加者5名、決裁者は同席、材料は先週の数値と顧客要望
制約を書くだけで、現実が立ち上がります。
現実が立ち上がると、問いが鋭くなります。
ステップ4 問いを疑問形で1文にする(イシュー化)
例:今日この会議で、何を決めればプロジェクトが前に進むのか?
ここは疑問形が強いです。
断定形にすると、答えの押し付けになりやすいからです。
ステップ5 捨てる(決めないことを宣言する)
例:背景共有は5分まで、各論の改善案は別会議、責任追及はしない
捨てない会議は、伸びます。
捨てた会議は、決まります。
良いイシューの条件(強い問いのチェックリスト)
良いイシューは「決められる」「検証できる」「一言で共有できる」です。
悪いイシューは「抽象的」「広い」「気合いで埋める」です。
迷ったら比較可能な形に直すのが最短です。
イシューが弱いと、会議は「議論をした気がする場」になります。
イシューが強いと、会議は「決めた場」になります。
チェックリスト(y/n)
・(y/n)この問いは、会議の最後にYes/Noまたは選択肢で決められますか
・(y/n)決まったら、担当と期限が自然に出ますか
・(y/n)判断材料(数値・事例・顧客の声など)が用意できますか
・(y/n)一文で言えて、参加者全員が同じ解釈になりますか
・(y/n)この問いを解くと、他の問題が雪崩式に軽くなりますか
迷ったときの修正ルールはこれです。
「大きい問い」を「比較できる問い」に直します。
例、
・生産性を上げる → どの工程の待ち時間が最も大きいか
・売上を伸ばす → どの顧客層のリピートが落ちたか
・会議を短くする → 今日決めるべき意思決定は何か
具体例:仕事の現場でのイシュー化(会議・企画・トラブル・部門間)
同じ「揉めている」でも、イシュー次第で結論の出方が変わります。
例を型として持つと、毎回の会議が整います。
最後に自分の現場の1文へ落とせば、すぐ使えます。
例1:会議が長い
問題:会議が長い
ありがちな誤イシュー:どうすれば会議を短くできるか
強いイシュー:今日この会議で「決めるべき意思決定」は何か
次の一手:
・決定事項(最大3つ)を先に書く
・アジェンダを決定事項の逆算で組む
・時間配分を宣言する(5分/10分/10分/5分)
例2:企画が進まない(案はあるのに決まらない)
問題:企画が決まらない
誤イシュー:もっと良い案を出すには?
強いイシュー:採用基準(勝ち筋)を何に置くか?
次の一手:
・評価軸を3つに絞る(例:売上インパクト、実装工数、再現性)
・全案を同じ土俵で比較する
・「採用しない理由」も一緒に残す(次回の迷いが減る)
例3:トラブルが再発する(同じ事故が起きる)
問題:ミスが繰り返される
誤イシュー:注意力を上げるには?
強いイシュー:再発の発火点は工程のどこか?
次の一手:
・工程を5分割して、発生箇所を特定する
・人の注意ではなく、仕組み(チェック・自動化・手順)へ寄せる
・再発防止の「最小変更」を決める(大改修は先送りしがちです)
例4:部門間で揉める(営業×開発、制作×運用)
問題:責任の押し付け合い
誤イシュー:どうすれば仲良くできるか
強いイシュー:成果責任と作業責任の境界はどこか?
次の一手:
・RACIで「誰が決めるか」を1枚にする
・要求の入口を一本化する(窓口が複数だと燃えます)
・合意した境界線を文章で残す(口頭合意は揮発します)
よくある失敗と修正(現場で折れない直し方)
失敗は「問いが広い」「答えを決め打ち」「イシューが増殖」の3つが多いです。
修正は削るが最優先です。
週次でイシューを更新すれば、ズレても戻せます。
失敗1:抽象語で置いてしまう
悪い:生産性を上げる
直す:どの工程の待ち時間が一番大きいですか
悪い:会議の質を上げる
直す:この会議で決めるべき意思決定は何ですか
失敗2:答えを先に決めてしまう
悪い:資料が悪いに違いない
直す:意思決定を止めている要因は「情報不足/不信/権限不在」のどれですか
失敗3:会議中にイシューが増える
悪い:ついでにこれも…が連鎖する
直す:駐車場(Parking Lot)に移して別枠化し、最後に採用/不採用を決める
テンプレ:会議冒頭30秒でイシューを揃える文
ここは、現場で最も効果が出やすい箇所です。
司会者でも、参加者でも、言えた瞬間に場の空気が変わります。
コピペ用(司会者の宣言テンプレ)
・今日この会議で決めたいことは「_________」です
・判断材料は「_________」で、時間は「__分」です
・今日は「_________」は決めません(別枠にします)
3分版(個人用)
- いま困っている現象:____
- 今日決めること:____
- 決めないこと:____
FAQ
Q1. 会議でイシューを揃えても脱線します
A. 脱線自体は正常です。脱線先を「駐車場」に置き、最後に採用するか/しないかを決めるだけで締まります。
Q2. イシューが複数ある場合はどうしますか
A. まず今週の一点が安全です。2つ以上だと検証が割れ、結局どれも中途半端になりやすいです。
Q3. 決裁者がいない会議でも意味はありますか
A. あります。イシューを「決裁に必要な材料は何か」に変えると、決裁者へ渡す形が整い、次が速くなります。
Q4. 反対意見が強くて決まらないときは?
A. 争点が「好み」になっている可能性が高いです。採用基準(評価軸)を先に合意し、案ではなく基準で比較すると決まりやすくなります。
まとめ
イシューとは、「いま解く価値が最も高い問い」です。
会議や仕事が進まないとき、多くの場合は努力不足ではなく、問いが未設定なだけです。
今日からできる一歩はシンプルです。
会議の冒頭で「決めたいこと」と「決めないこと」を1文ずつ宣言してください。
それだけで、場は議論から意思決定へ戻ります。





