目次
会社を「人柄ネットワーク」として見てみる
会社の人間関係がつらく感じるとき、
ぼくらはつい「組織図」と「役職」だけで世界を見てしまいます。
あの人は上司だからこう接するべき。
あの人は同僚だから、ここまでは言っていい。
この人は別部署だから、関係ない。
こうやって「箱」と「線」で世界を区切ると、
自分の居場所も、その箱の中だけに閉じ込められやすくなります。
ぼくは、会社をもうひとつの地図で見てみると楽になると思っています。
それが、会社=人柄でつながったネットワークという見方です。
組織図は、仕事を進めるための公式の道路地図。
人柄ネットワークは、「誰とだったらちゃんと橋がかかるか」の感覚的な地図。
この二つを分けて持てるようになると、
「人に振り回されている感じ」が少しほどけていきます。
組織図だけでは説明できないものが多すぎる
たとえば、こんな経験はありませんか。
- 役職は高くないのに、なぜかいつも情報が集まっている人
- 部署をまたいで、いろんな人から頼りにされている人
- 上からの指示は彼経由で伝えるとスムーズに通る人
組織図に名前は書いてあっても、
「この人に話しておいたほうが早い」という感覚は、紙には出てきません。
それはすべて、
人柄を通じて積み上がってきた信頼のネットワークです。
- 話をちゃんと最後まで聞いてくれる
- 約束を守る
- 忙しくても、弱い立場の人への一言を雑にしない
こういう行動の積み重ねが、
いつの間にか「この人に声をかけたい」という線を増やしていきます。
会社のもう一枚の地図をイメージしてみる
一度、頭の中で自分の会社を思い浮かべてみてほしいです。
- 困ったとき、最初に顔が浮かぶ人は誰か
- この人がいると、職場の空気が少し柔らかくなるなと思う人は誰か
- あの人が辞めたら、けっこう困るよね…という人は誰か
その人たちを線で結んでいくと、
組織図とは全く違う「人柄ネットワークの地図」が見えてきます。
その地図の上で、自分がどのあたりに立っているのか。
そこに気づくことが、付き合い方を変える第一歩になります。
組織図視点と人柄ネットワーク視点を比べてみる
同じ会社を見ていても、
「組織図の地図」と「人柄ネットワークの地図」では、見える景色が変わります。
イメージしやすいように、ざっくり比較してみます。
| 観点 | 組織図で見る会社 | 人柄ネットワークで見る会社 |
|---|---|---|
| 会社の見方 | 部署と役職で区切られた箱の集まり | 人と人が信頼でつながった線の集まり |
| 判断の軸 | 上司か部下か、どの部署か | 信頼できるか、一緒に仕事しやすいか |
| 自分の動き方 | 指示系統に沿って動くことが中心 | 相談しやすい人と協力ルートを作る |
| 評価のイメージ | 評価シート・数字・実績で決まる | 日々の態度やフォローの記憶で決まる |
| 消耗しやすさ | 上からの指示と現場感覚の間で摩耗しやすい | 合う人/合わない人のバランスで変わる |
| 長期の影響 | 異動や人事で大きく変動しやすい | 人が変わっても、態度の一貫性は残る |
どちらか一方が正しくて、
どちらか一方が間違っている、という話ではありません。
大事なのは、
- 会社には二つの地図が同時に存在している
- そのうち片方(人柄ネットワーク)は、自分でも育てていける余地がある
この二点を理解しておくことです。
組織図は、変えようとしても自分ではどうにもなりません。
人柄ネットワークは、日々の態度と関わり方で少しずつ動かせます。
その「動かせる地図」に意識を向けると、
今いる会社との付き合い方が、静かに変わっていきます。
自分の「いまの立ち位置」をチェックしてみる
ここからは、
自分が人柄ネットワークの中でどんな位置にいるのか、
ざっくり把握するためのチェックを用意します。
深刻に採点するためではなく、
「今はこのあたりかもしれないな」と感覚をつかむためのものです。
人柄ネットワークのチェック表
下の項目について、いまの自分に
「わりと当てはまる」「あまり当てはまらない」あたりで、
心の中で軽くチェックしてみてください。
| 項目 | なんとなく当てはまる | あまり当てはまらない |
|---|---|---|
| 困ったときに、相談したい相手の顔がすぐに思い浮かぶ | ||
| 自分が困ったとき、声をかけてくれる人の顔も何人か思い浮かぶ | ||
| ミスをしたとき、正直に話そうと思える相手が社内に一人以上いる | ||
| 受けたフォローや親切に、後からでもきちんとお礼を返せている | ||
| 普段の会話で、相手の話を最後まで聞ける日がそこそこある | ||
| 疲れていても、弱い立場の人への一言だけは雑にしないようにしている | ||
| 噂話や悪口の流れに巻き込まれそうなとき、少し距離を取る選択ができている | ||
| 「この人には信頼されているかもしれない」と感じる相手が一人以上いる |
ざっくり数えてみて、
- 当てはまるが多い → すでに静かな人柄ネットワークが育っている
- 半々くらい → 一部でつながれているけれど、偏りがありそう
- 当てはまらないが多い → ここから育てていける余白が多い
くらいのイメージで大丈夫です。
ここで大事なのは、
「少ないからダメだ」と判断することではなく、
- どこに線があるか
- どこにまだ線が引けていないか
をなんとなく把握することです。
上司・同僚・後輩との付き合い方を人柄ネットワークで考える
人柄ネットワークの見方を使うと、
上司・同僚・後輩との付き合い方も少し変わります。
上司との距離は「全部任せるか、全部従うか」だけではない
上司との関係は、
どうしても「好き/嫌い」「合う/合わない」で語られがちです。
でも、人柄ネットワークとして見ると、
もう少し細かく分解できます。
- 仕事の進め方は合わないけれど、筋だけは通す人
- 感情的になりやすいけれど、外には守ってくれる人
- 指示は細かいけれど、質問にはきちんと答えてくれる人
このあたりを見ていくと、
- どこまで合わせるか
- どこからは距離を置くか
のラインが決めやすくなります。
「全部イヤ」ではなく、
「ここは信頼できる」「ここは信用しすぎないほうがいい」を分ける。
それだけでも、
心の摩耗はかなり変わってきます。
同僚とは「気が合う」より「安心して頼れる」が大事になる
同僚に対しても、
人柄ネットワークの視点を持つと、見え方が変わります。
- 飲み会ではあまり話さないけれど、仕事の相談はしやすい人
- テンションは合わないけれど、期限は守る人
- ノリは合うけれど、秘密をあまり預けたくない人
どのタイプの同僚と、
どんな線を引いておくと仕事がしやすいか。
「仲良くなる」ことだけが正解ではなく、
安心して頼れる関係を何本か持っておくことが大事になってきます。
後輩や若手とどう関わるかで、人柄ネットワークは育っていく
もし、自分より若いメンバーや後輩がいるなら、
そこも人柄ネットワークの大事な部分です。
- ちょっとした質問をされても、面倒くさそうにしない
- ミスを見たとき、「なんで?」より先に「大丈夫?」を一言挟む
- 自分が昔してもらって嬉しかったフォローを、さりげなくお返しする
こういうことを日々している人は、
時間が経つほどに「一緒に働きたい側」に回っていきます。
自分の上には上司、横には同僚、下には後輩。
でも、人柄ネットワークとして見たとき、
それはすべて同じ「線の一本」です。
空気が重たい会社でも、自分の人柄は守れるか
「とはいえ、うちの会社は空気が重たすぎる」
そんな声も、きっとあるはずです。
人柄ネットワークの見方は、
どんな会社でも万能の魔法になるわけではありません。
ただ、たとえ環境が良くなくても、
- 自分まで同じ空気に染まりきらない
- 自分の人柄を完全に手放さない
ための、ささやかな防具にはなります。
変えられないものと、まだ動かせるものを分ける
空気が重たい職場ほど、
「全部変えなきゃ」という発想になりがちです。
でも現実的には、
- 変えられないもの
- 経営方針
- 上層部の気質
- 給与や人事制度
- まだ動かせるもの
- 誰に近づくか、誰から距離を置くか
- 日々の言葉づかいと態度
- 自分が守りたいライン
このあたりは分けて考えたほうが、心が持ちます。
変えられないものにばかり力を使うと、
人柄ネットワークを育てる余力がなくなってしまいます。
自分のコアだけは手放さない
重たい職場でいちばん削られやすいのは、
「本当はこうありたい」という自分のコアです。
- 本当は、弱い立場の人を守りたい
- 本当は、約束は守りたい
- 本当は、仕事で嘘はつきたくない
ここを完全に折ってしまうと、
あとで環境を変えたときにも、自分を嫌いなままになりかねません。
だからこそ、
- ここから先は、どんなに疲れていても守る
- ここまでは、妥協してもいい
というラインを、自分の中で決めておくことが、
人柄ネットワークを守ることにつながります。
よくある疑問Q&A:人柄ネットワークって、結局どうなの?
人柄ネットワークって、人脈づくりと同じですか
人脈づくりは、
「どれだけ多くの人と名刺を交換したか」という量の話になりがちです。
人柄ネットワークは、
人数よりも関係の質に重心があります。
- 無理に広げるより、少数でもちゃんと信頼し合える関係
- 仕事が終わっても「あの人なら」と思い出してもらえる関係
そういう線を、少しずつ増やしていくイメージです。
内向的でも、人柄ネットワークを育てられますか
はい、むしろ内向的な人のほうが、
丁寧な聞き方や約束の守り方で信頼を集めやすいことも多いです。
大勢とワイワイ話す必要はありません。
- 少数の人と、ちゃんと関係を深める
- 雑談が苦手でも、「聞く」と「一言添える」に集中する
この二つだけでも、人柄ネットワークは静かに育っていきます。
嫌いな人とも、無理に良い関係をつくるべきでしょうか
無理に「仲良く」なる必要はないと思います。
ただ、
- 完全な敵として扱わない
- 仕事上の最低限の礼儀は守る
- 距離を取りつつ、感情はこじらせすぎない
このあたりを意識しておくと、
自分の心の消耗を減らすことができます。
人柄を大事にすると、損をしませんか
「断れない」「搾取される」
そんな不安もあると思います。
人柄を大事にすることと、
なんでも引き受けることは別物です。
- 守りたいラインを自分で決める
- その外側は、丁寧に断る練習をする
この二つをセットにすることで、
人柄を保ちながら、自分も守れるようになっていきます。
人柄が評価されない会社にいる場合は、どうすればいいですか
残念ながら、そういう場もあります。
その場合でも、
- 自分の「人柄コア」は手放さない
- ここで育てた態度は、次の職場でも通用する、と位置づける
こう考えておくと、
今の会社だけが世界のすべてではなくなります。
どうしても限界を感じたら、
そのときは「環境を変える」という選択を、
自分の味方として取りに行っていいと思います。
まとめ:会社を人柄ネットワークとして捉え直す
ここまでの話を、一度まとめます。
- 会社には、組織図の地図と、人柄ネットワークの地図が同時に存在している
- 組織図は変えにくいけれど、人柄ネットワークは日々の態度で少しずつ動かせる
- 上司・同僚・後輩との関係も、「好き嫌い」だけでなく、人柄の線で見直せる
- 環境が重たい職場でも、自分の守りたいラインを決めることで、人柄を守ることができる
- 人柄ネットワークは、「多くの人とつながること」より「少数とちゃんとつながること」に意味がある
そして、いちばん伝えたいのは、
会社の見方が変わると、
同じ場所でも、自分で選べることが増えていくということです。
今日ひとつだけやるなら、この行動
この記事を読み終えた今日、
もし一つだけ試すとしたら、
「この人とは、長くつながっていたいな」と思う相手に、
一言だけ丁寧に声をかけてみることをおすすめします。
- お礼をもう一度伝える
- 助けてもらったことを具体的に言葉にする
- 最近どうですか、と短く気にかけてみる
それだけでも、
人柄ネットワークの細い線が、すこしだけ太くなります。
会社を「人柄ネットワーク」として見直す作業は、
派手さはないけれど、じわじわ効いてくる長期投資です。
その一歩を、今日の一言から始めてみてください。





