昇進や肩書きは、もちろん大事です。けれど、長く働いていると、別の評価軸がじわじわ効いてきます。
それが、「また一緒にやろう」「次の案件もお願いしたい」と静かに名前が挙がるかどうかです。
数字や成果はそれなりに出しているのに、なぜか大事な場面で声がかからない。そんな違和感を抱えたまま働くのは、地味にきついですよね。
この文章では、肩書き中心のキャリアから一歩だけずらして、「また組みたい」と言われる側に重心を移す視点を、ぼくなりに整理していきます。
もし今、「評価は悪くないはずなのに、なぜか主役テーブルには呼ばれない」と感じているなら、ここからの話は空気を少しだけ軽くするはずです。
目次
昇進と「また組みたい人」は、そもそも別のゲームだという前提
まず、いきなり結論からいきます。
昇進のゲームと、「また組みたい人」のゲームは、重なっている部分もあるけれど、基本的には別物です。
昇進は、組織の評価制度の上で決まる「縦のゲーム」。
「また組みたい人」は、現場の信頼や安心感で決まる「横のゲーム」。
この二つを同じものとして扱うと、「数字は悪くないのに、なぜか呼ばれない」というモヤモヤがずっと解けません。
昇進のゲーム 上から評価されるためのルール
昇進のゲームには、比較的分かりやすいルールがあります。
- 売上や成果などの数字
- 担当業務の難易度
- 管理できている範囲の広さ
- 評価面談でのアピール
- 会社の方針との相性
こうした要素は、上にいる人から見て「扱いやすい指標」です。
だからこそ、昇進を狙うなら、これらをきちんと押さえていく必要があります。
ここで問題になるのは、「数字はそこまで悪くない」「遅刻や大きなミスもない」のに、なぜか昇進が見送られるケースです。
多くの場合、そこで語られるのは、こんな言葉です。
- 真面目で助かっている
- もう少し主体性があるといい
- 期待しているが、タイミングではなかった
表向きのコメントはやわらかいのに、心の奥では「つまり、自分は何が足りないんだろう」とざわつきますよね。
ぼくがここで伝えたいのは、「昇進のゲーム」に必要なピースと、「また組みたい人」に必要なピースは、似ているようで微妙に違う、ということです。
「また組みたい人」のゲーム 横の信頼で決まるルール
「また組みたい人」は、評価表には書かれません。
でも、プロジェクトのメンバーを選ぶ会議や、飲み会の帰り道、チャットの裏側で、静かに名前が挙がります。
ここで効いてくるのは、こんな要素です。
- 一緒にいると、場の空気が少し落ち着く
- ミスが起きたとき、責任の押し付け合いに走らない
- 忙しいときでも、短い一言に気遣いがにじむ
- 約束を守るかどうかより、「守れなかったときの振る舞い」が丁寧
- 自分が得するかどうかより、「チームが前に進むか」を先に考える
どれも評価表には載せにくいけれど、現場で一緒に戦う側にとっては、ものすごく大きな差になります。
あなたもきっと、「あの人がいるならこの案件やってもいいな」と感じる相手が、少なくとも一人はいるはずです。
そのとき、頭の中で数えているのは、その人の肩書きや等級ではなく、「一緒にいるときの安心感」ではないでしょうか。
どちらも大事だが、順番を変えると楽になる理由
もちろん、昇進も大事です。
給与や裁量、社内で発言できる範囲にも影響します。
ただ、ぼくは順番を少しだけ変える提案をしたい。
まず、「また組みたい人」をゴールに置く。
そのうえで、必要なら昇進を取りにいく。
この順番にすると、キャリアの土台がだいぶ変わります。
なぜかというと、「また組みたい人」としての信頼は、会社を変えても、人が変わっても、ある程度ついて回るからです。
一度「この人となら安心して任せられる」と思われると、その印象は他の現場や次の職場でも、紹介や推薦という形で効いてきます。
昇進軸だけでキャリアを設計すると、その会社のルールに人生のかなりの部分を預けることになります。
でも、「また組みたい人」という軸を持っておくと、自分のどこを磨けばいいかが、少しだけ普遍的になります。
ここまで読んで、「じゃあ、自分は今どこにいるんだろう」と感じたら、次はそれを一度、見える形にしてみましょう。
あなたは今どこにいるか チェック表で現在地を見える化する
いきなりキャリアのゴールを変えようとすると、頭の中がごちゃっとします。
なのでまずは、「今の自分がどんな立ち位置にいるのか」をざっくり掴んでしまいましょう。
ここで大事なのは、誰かと比べて落ち込むためではなく、「今の自分のクセ」を把握するつもりで読む、ということです。
昇進偏重モードになっていないかのセルフチェック
次の項目を、心の中で「だいたい当てはまる」「あまり当てはまらない」で見てみてください。
- ここ半年で、新しいプロジェクトのメンバーに選ばれた回数をすぐに思い出せる。
- 評価面談で、「真面目」「ミスが少ない」以外のコメントを具体的に言われた記憶がある。
- 仕事を受けるとき、「この経験が昇進につながるかどうか」をまず考えてしまう。
- 会議では、指名されれば話すが、自分から発言を取りにいくことはあまりない。
- 残業が続くと、「ここまで頑張っているのだから、そろそろ評価してほしい」と思う瞬間がある。
これらに強く当てはまるほど、いまのあなたは「昇進モード」寄りになっています。
悪いことではありません。ただ、その分だけ「また組みたい人」軸への意識が薄くなっている可能性がある、というだけです。
「また組みたい人」度合いを測る行動チェック
次は、「また組みたい人」寄りの行動が、どれくらい日常にあるかを見てみます。
- 誰かが困っているとき、自分から声をかけた回数より、声をかけられて動いた回数の方が多い。
- 会議後に、個別で話しかけられることが月に一度以上ある。
- 自分が抜けたら、明日から困る人の顔が三人以上浮かぶ。
- 忙しいときほど、チャットやメールの文面が短く刺々しくなってしまう自覚がある。
- 仕事のお願いを断るとき、「代わりにできること」まで一緒に返せていることが多い。
- ミスをしたとき、自分の感情よりも先に「相手が今何を心配しているか」を一度想像している。
- 同じチームメンバーと、雑談レベルの会話を週一回以上できている。
- 「あの人とまた組みたい」と自分の名前を出してくれそうな人が、一人でも思い浮かぶ。
ここで大事なのは、「全部できているかどうか」ではありません。
「意識が向いている項目」と「ほぼ意識していない項目」が、どこにあるかです。
現在地をざっくり把握するチェック表
今の状態を、もう少しだけ整理してみましょう。
| 項目 | 当てはまる数が多いときの傾向 | 今の自分の感覚 |
|---|---|---|
| 昇進寄りの項目(評価面談・数字・残業への期待など) | 昇進モードが強く、「また組みたい人」軸が薄くなりがち | |
| 行動チェックの項目(雑談・フォロー・ミス時の振る舞い) | 横の信頼が育ちつつあり、「また組みたい人」に近い状態 | |
| どちらも中途半端で当てはまる | 強みがぼやけやすく、キャリアの軸が見えづらい状態 |
「今の自分の感覚」の欄には、心の中で一言メモを書き込むつもりで、「まあまあ」「まだ弱い」「ここは強い」などをそっと置いてみてください。
それだけでも、自分がこれから意識したい方向が、少しだけ輪郭を持ちはじめます。
チェック結果から見える、今優先したいポイント
ざっくりまとめると、こんなパターンに分かれます。
- 昇進寄りの項目ばかり当てはまる人
- 人との関わりは多いが、評価面談でのコメントが弱い人
- どちらも中途半端で、「自分の強みがよく分からない」と感じる人
もし今、「昇進寄りの項目は当てはまるけれど、『また組みたい人』側の行動に自信がない」と感じたなら、ここからは、意識を少しずつ横に広げていくフェーズです。
逆に、「人から頼られることは多いのに、数字や昇進に反映されづらい」と感じているなら、後半の比較パートで、バランスの取り方を一緒に整えていきましょう。
昇進先行キャリアと「また組みたい人」先行キャリアの比較
ではここから、キャリアの軸を三つに分けて考えてみます。
- 昇進先行型
- 「また組みたい人」先行型
- バランス型
どれが正解という話ではなく、「自分はどこを目指したいのか」を整理するための地図として眺めてみてください。
三つのキャリア設計パターンを比較する
まずは、ざっくりと比較表にしてみます。
| キャリアの軸 | 短期の昇給・昇格 | 長期の安定感 | プロジェクトに呼ばれる頻度 | 心身の疲れやすさ | 環境を変えたときの強さ | 裁量感・自由度 | 人間関係の質 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 昇進先行型 | 高い | 組織次第 | 上からの指名が中心 | 高くなりがち | 組織依存になりやすい | 高くなりやすい | ばらつき大 |
| 「また組みたい人」先行型 | 会社次第 | 高い | 現場からの指名が増えやすい | 中〜低 | 転職・異動でも強い | 中〜高 | 安定しやすい |
| バランス型 | 中〜高 | 中〜高 | 上と現場の両方から呼ばれる | 中 | 比較的強い | 中〜高 | 良好になりやすい |
もちろん、現実はこの通りきれいに分かれるわけではありません。
それでも、「今の自分の働き方は、どの行に近いかな」と眺めてみるだけでも、少し見え方が変わります。
昇進先行で得られるものと、失いやすいもの
昇進先行型の一番のメリットは、分かりやすい成果と報酬です。
役職や等級が上がれば、給与も上がりやすく、意思決定に関わる場も増えます。
一方で、こんなリスクも抱えやすくなります。
- 組織の方針転換や上層の交代で、一気に立場が揺らぎやすい
- 現場との距離が開き、「一緒にやりたい人」という感覚から離れていく
- 自分より上が詰まっていると、次のポジションが空くまで長く待たされる
さらに、実感として大きいのは、「頑張っているのに報われていない気がする時間」が長くなりがちなことです。
昇進は、どうしても椅子の数が限られます。
その椅子を目標に走るのは悪いことではないけれど、もし今の会社の構造上、何年も待ち続けるしかない状況だとしたら、そこに人生の満足度をすべて預けてしまうのは、少しもったいない気がします。
「また組みたい人」先行で得られる安心と弱点
「また組みたい人」先行型のメリットは、呼ばれ続ける安心感です。
- 新しい案件が立ち上がるとき
- チーム構成を考えるとき
- 部署をまたぐプロジェクトが立ち上がるとき
そんな場面で、「あの人に声をかけてみよう」と自然に名前が挙がる。
ここで効いているのは、肩書きではなく、日々の関わり方や振る舞いです。
この軸を育てておくと、たとえ今の会社を離れたとしても、元同僚や元上司から別の場所で声をかけられたり、紹介をもらえたりします。
いわば、自分のまわりに小さな「仕事の泉」がいくつもできていく感覚です。
ただし、弱点もあります。
- 組織によっては、上の人からの「見える評価」が追いつかないことがある
- 感謝されるのに、昇進スピードは遅いと感じる場面も出てくる
- 自分の体力以上に「頼られすぎる」と、疲弊するリスクもある
だからこそ、「また組みたい人」軸を育てるときは、「自分を守る線引き」も同時に設計しておく必要があります。
バランス型をどう狙うか 現実的な落としどころ
では、どうやってバランス型に近づいていけばいいのか。
ぼくのおすすめは、「まず横の信頼を一定まで育て、そのうえで昇進の条件を一つずつ満たしていく」やり方です。
具体的には、次のような順番です。
- 今いるチームや隣のチームで、「あの人に相談すると整理してもらえる」というポジションを作る
- 小さめのプロジェクトやタスクで、期限と品質を安定して守る実績を重ねる
- その実績をもとに、評価面談で「もっと広い範囲を任せてほしい」と丁寧に伝える
- ひとつ上の難易度の仕事を取るときも、「一緒にやりたい」と思われる関わり方を崩さない
この順番で地盤を固めていくと、「昇進したから現場から遠くなる」のではなく、「昇進しても現場から声がかかり続ける」ラインに近づいていきます。
もし今、「どこから手を付ければいいか分からない」と感じているなら、次の章で日常レベルの習慣にまで分解していきますね。
日常に埋め込める「また組みたい人」の習慣設計
ここからは、もっと生活レベルの話をします。
残業時間を増やさずに、「また組みたい人」度をじわじわ上げていくための小さな習慣です。
全部やる必要はありません。
読んでいて「これならできそうだな」と思うものから、ひとつだけ拾ってもらえたら十分です。
会議前後の数分でできる信頼の積み上げ
会議は、仕事の密度が高い時間ですが、信頼を積み上げるチャンスでもあります。
例えば、こんなことが挙げられます。
- 会議が始まる前、議題をざっと確認して、「今日はこのあたり、自分から意見を出してみよう」と一つだけ決めておく。
- 誰かがうまく言語化できずに詰まっているとき、「つまり、こういうことですか?」と、相手の意図を汲んで整理し直す。
- 会議後、チャットで「さっきの提案、すごく助かりました」と短く感謝を返す。
こうした動きは、どれも大きな時間は取りません。
けれど、「一緒に会議にいてくれると、進行が楽になる人」という印象が、じわじわと積み上がっていきます。
ミスしたときと、誰かがミスしたときの振る舞い方
「また組みたい人」かどうかが、いちばんはっきり分かれるのは、トラブルが起きたときです。
自分がミスしたとき。
誰かがミスしたとき。
この二つの場面での一言は、日常の十回分くらいの重さを持ちます。
自分がミスしたときは、
- まず事実だけを短く共有する
- 相手がいま何を一番不安に思っているかを想像し、それに先回りして答える
- そのうえで、「次回はこう防ぐつもりです」と具体策を一つだけ添える
誰かがミスしたときは、
- いきなり原因探しから入らず、まず「今どこまでリカバリできているか」を聞く
- 公の場で責める言い方を避け、必要なフィードバックは落ち着いたタイミングで伝える
- 自分にできるフォローがあるなら、「ここまでは一緒にやります」と線を引いたうえで申し出る
こんな振る舞いを見ている人は、思っている以上に多いです。
そして、「いざというとき、この人と一緒にいたいかどうか」の印象は、こういう場面でほぼ決まります。
仕事の受け方・断り方で伝わる「安心して任せられる感」
仕事の受け方や断り方にも、「また組みたい人」度がにじみます。
例えば、
- 何でもかんでも即答で引き受けるのではなく、自分の手持ちを一度確認してから「いつまでならできます」と返す。
- どうしても受けられないときは、「今、これとこれを抱えているので、代わりにここまでならできます」と、代替案を添える。
- 期日に少しでも間に合わなさそうなときは、「このペースだとここが遅れそうです」と、前もって共有する。
これらは、単に「いい人」になるための振る舞いではありません。
むしろ、自分をすり減らさずに、「この人に頼むと状況が見えやすい」と思ってもらうための土台です。
安心して任せられる人は、長期的には「また組みたい人」に直結していきます。
忙しくてもできる一日一フレーズのアップデート
時間がないときこそ、言葉の選び方がそのまま印象になります。
例えば、同じ内容でも、
- 「了解です」
- 「了解しました。任せてください」
- 「了解しました。ここまで進んだら一度共有しますね」
この三つでは、受け取る側の安心感が少しずつ違います。
毎日すべての文面を完璧に整える必要はありません。
ただ、「今日は一つだけ、返事のフレーズをアップデートしてみよう」と決めてみると、少しずつ空気が変わります。
ここまで読んで、「やること多くないか?」と思ったかもしれません。
なので次は、「そもそも、こういうことをやる意味はあるのか」という疑問や不安に、まとめて先回りしておきます。
よくある疑問と、静かに進めるためのQ&A
Q. 性格が内向的でも「また組みたい人」になれますか
なれます。
むしろ、静かに場を観察できる人の方が、「ここで何を言うべきか」「どこまで踏み込むべきか」の感覚が磨かれやすいところもあります。
大声で場を引っ張る必要はありません。
- 重要な場面で、一度だけ整理してくれる
- 相手の話を最後まで聞いたうえで、短く核心を返してくれる
- 派手ではないが、約束や締切を淡々と守り続けている
こんな人は、じわじわと「また組みたい人」リストの上位に入っていきます。
もし、今は何もできていないと感じるなら、まずは「人の話を最後までさえぎらずに聞く」「返事を少しだけ丁寧にする」あたりからで十分です。
Q. 上司が合わない職場で頑張っても意味はありますか
意味がないことはありません。
なぜなら、「また組みたい人」としての評価は、上司だけでなく、同僚や他部署の人たちの目にも積み上がっていくからです。
ただし、心身が削られるほど相性が悪い環境に、無期限でい続ける必要もありません。
今の環境では、
- 身につけられるスキル
- 出会える人たち
- 自分の「また組みたい人」度
この三つのうち、どこまで回収できそうかを一度落ち着いて眺めてみてください。
そのうえで、「ここから一年はここで積む」「その先は、選択肢を広げておく」といった具合に、時間軸を区切って考えると、少し楽になります。
Q. 今さらキャラを変えると「キャラ作ってる」と思われそうで怖い
急に別人になると、たしかに違和感が出ます。
なので、「キャラを変える」というより、「言葉を一つずつアップデートする」くらいの粒度で考えてみてください。
例えば、
- 感謝のメッセージを、月に一回多く送ってみる
- 会議のあと、一人だけに「さっきの意見、助かりました」と声をかけてみる
- ミスを責める言葉を飲み込んで、「次どうするか」を一緒に考えてみる
こうした変化は、周りから見ると「キャラが変わった」というより、「最近ちょっといい感じだな」くらいの微妙な変化として受け取られます。
人の印象は、急激な変化よりも、静かな積み重ねで上書きされていきます。
Q. プライベートを削ってまで人に合わせる必要はありますか
ありません。
むしろ、自分の余白がまったくない状態で人に合わせ続けると、「また組みたい人」どころか、「近づきにくい人」になってしまいます。
大事なのは、「自分をすり減らす優しさ」ではなく、「自分を守りながら差し出す余白」です。
例えば、
- 定時以降は、基本的に緊急時以外のチャットに即レスしないと決める
- 引き受けられないお願いには、「今は難しいですが、来週ならここまでならできます」と線を引く
- 休日は、仕事のことを考えない時間を意図的に作る
こうした線引きは、最初こそ勇気がいりますが、長期的には周りからも「ちゃんと自分を管理できる人」として信頼されます。
Q. 昇進も諦めたくないときは、何から手をつけるといいですか
昇進も、「また組みたい人」も、どちらも欲しい。
その欲張りな気持ち自体は、大事にしていいと思います。
そのうえで、
- 今の自分の強みはどちら側に寄っているか
- 会社の評価軸は、どこに重心が置かれているか
この二つを一度見える化してみてください。
もし今、「現場の信頼はあるが、数字やアピールが弱い」と感じるなら、
- 小さなプロジェクトの成果を、きちんと言葉にして上司に渡す
- 来期の目標設定で、「この範囲を任せてほしい」と具体的に伝える
といった一歩からでかまいません。
逆に、「数字や成果は出しているが、人とのつながりに不安がある」と感じるなら、ここまで書いてきた習慣から、一つだけ日常に足してみてください。
どちらか一方だけを極端に追わず、ゆっくりとバランスを取りにいく方が、結果的には長く楽に働けます。
Q. チームでは好かれているのに、組織の評価はあまり変わりません
これは、とてもよくある状態です。
- チームメンバーからは感謝される
- 相談も多い
- なのに、評価面談ではなぜか大きな変化がない
このとき、多くの場合は「やっていることを、組織の言葉に翻訳できていない」だけだったりします。
例えば、
- 「相談に乗っている」→「メンバーの業務の詰まりを早期に解消し、残業時間の増加を防いでいる」
- 「フォローに入っている」→「案件の納期遅延リスクを減らしている」
こういう形で、自分の行動を少しだけビジネス寄りの言葉に置き換えてみる。
そのうえで、評価面談や日報に反映していくと、「また組みたい人」としての動きが、昇進側の評価にもつながりやすくなります。
まとめ 「肩書き」より先に「また組みたい人」をゴールに置いてみる
最後に、ここまでの話を一本の線にまとめますね。
ぼくがこの文章で伝えたかったのは、キャリアのゴールを「昇進」から「また組みたい人」にそっとずらしてみると、働き方の手触りが変わる、ということです。
昇進は、たしかに分かりやすいご褒美です。
でもそれは、「その会社」の中での評価に強く結びついています。
一方で、「また組みたい人」としての評価は、
- 会社が変わっても
- 部署が変わっても
- 働き方が変わっても
ある程度はついて回る資産です。
肩書きより前に育てておきたい三つの感覚
「また組みたい人」を目指すうえで、ぼくが大事だと思うのは、次の三つの感覚です。
- 一緒にいるとき、相手の緊張を少し下げられているか
- トラブルのときほど、冷静さと優しさを同時に持てているか
- 自分を守りながら、人のために差し出せる余白をどこに持つか分かっているか
どれも、一朝一夕で身につくものではありません。
でも、今日からの選び方で、ゆっくりと育てることはできます。
比較してみたうえで、自分が選ぶ基準
ここまで読んできて、「結局、何を基準に選べばいいのか」と感じたかもしれません。
最後に、基準を箇条書きで並べておきます。
キャリアの軸を選ぶときの基準
- 今の会社に、どれくらい長くいるつもりか
- 人と関わることに、どれくらいエネルギーを使えるか
- 将来、環境を変える可能性をどれくらい残しておきたいか
- 自分が「役職名」で呼ばれることと、「名前」で呼ばれることの、どちらにより温度を感じるか
- 心身をすり減らさずに続けられる働き方は、どのラインか
この中で、自分にとって譲れないものがどれなのか。
一度、静かな時間に眺めてみてください。
そのうえで、もし迷ったときには、キャリアのゴールをこう設定してみるのも一つです。
- 昇進は「あると嬉しいご褒美」
- 「また組みたい人」と言われることは、「長く働くための土台」
この順番にしておくと、環境が変わっても、自分の軸まではそう簡単に揺れません。
今日から一つだけ、何を変えてみるか
ここまで読んでくれたあなたは、きっとすでに、誰かから「助かるな」と思われている部分を持っています。
あとは、それを少しだけ意識的に育てていくだけです。
もし、今日一つだけ変えてみるとしたら、何にしますか。
- 会議の前に、一つだけ「ここは発言してみよう」と決めておく
- 誰かのミスに出会ったとき、責める前に「何が起きたか」を聞いてみる
- チャットやメールの最後に、一文だけ柔らかい言葉を足してみる
どれでも大丈夫です。
肩書きよりも前に、「また組みたい」と名前が挙がる自分を、少しずつ育てていきましょう。
その積み重ねは、気付いたときには、今よりずっと居心地のいい働き方につながっているはずです。





