仕事でミスをした夜。
家に帰って、シャワーを浴びて、ベッドに横になっても、頭の中では同じシーンが何度も再生される。
「あのときちゃんと確認していれば」
「なんであんなこともできなかったんだろう」
こういう夜って、本当にしんどいですよね。
先に結論を言うと、
頭の中でぐるぐる考え続けるよりも、5分だけ手を動かして
感情と事実を分けてメモにしてしまった方が、心はだいぶラクになります。
ここからは、ぼくが提案したい
「感情と事実を分ける3ステップメモ」のやり方を、ゆっくり整理していきます。
目次
なぜミスした夜は、自分を責めすぎてしまうのか
帰り道とベッドの中で始まる「ミスのリプレイ」
ミスをした日の夜ほど、静かな時間が味方になってくれない日もありません。
電車の窓に映る自分の顔をぼんやり見ながら、
さっきの会議のシーンが何度もよみがえる。
布団に入って部屋の明かりを消した瞬間、
上司の表情や同僚の沈黙が、そのまま脳内上映会の再生ボタンになります。
このとき、頭の中で起きているのはだいたいこんな流れです。
- ミスした場面を思い出す
- そのときの恥ずかしさや悔しさが、また体に戻ってくる
- 「自分って本当にダメだな」という言葉が自動で出てくる
事実を思い出しているつもりが、
気づくと「人格のダメ出し」にすり替わっている。
これが、夜のぐるぐるの正体にかなり近いです。
反省と自己否定がごちゃまぜになっている
本当は、ミスから学びたいだけなんです。
- 次は同じ失敗をしたくない
- ちゃんと成長したい
- 信頼を取り戻したい
だから「今日のこと、ちゃんと振り返らなきゃ」と思う。
真面目な人ほど、その気持ちは強いはずです。
でも、頭の中だけで振り返ろうとすると、
こんな混ざり方をしがちです。
- 事実:17時のクライアントメールへの返信を忘れた
- 解釈:社会人としてありえないレベルだ
- 結論:自分は仕事に向いていない
本来は「どうすれば忘れにくくなるか」を考えたいのに、
いつの間にか「自分の価値」の話になってしまう。
この「事実」と「自分の価値」がくっついた状態が、
自分を責めすぎてしまう原因の一つです。
自分を責めすぎないための前提:「感情」と「事実」を分けてみる
「つらい」は間違っていない感情だと認める
まず、大事なことを一つ。
ミスをして落ち込むのは、当たり前です。
恥ずかしい、悔しい、情けない。
こういう感情そのものは、間違っていません。
ここを無理やりポジティブにふたをしようとすると、
「ちゃんと反省してないんじゃないか」と
自分への不信感が生まれてしまいます。
なので最初の前提は、これです。
- つらい感情が出てくるのは自然なこと
- その感情を、いったん紙の上で受け止めてあげる
感情をメモに出すのは、甘えでも言い訳でもなくて、
心の負荷を少し下げるための作業です。
「起きたこと」を中立な言葉にしてみる
次に扱いたいのが、「事実」の方です。
ここでいう事実は、
「誰がいつどこで何をしたか」という、できるだけ中立な情報。
たとえば、
- 悪い例
「大事な仕事をぐちゃぐちゃにした」 - 事実に近づけた例
「17時締切のクライアントメールの返信を、18時半まで忘れていた」
このくらいまで分けて書いてあげると、
「どこを直せばいいか」が見える余地が出てきます。
感情と事実を同じ場所に置いていると、
「自分が悪い」としか見えません。
それを、「何がどう起きたのか」に分けていく。
この切り分けが、3ステップメモの土台になります。
感情と事実を分ける3ステップメモの全体像
3ステップメモは、こんな順番で書きます。
- 感情を書くゾーン
- 事実を書くゾーン
- 明日の一手を書くゾーン
ざっくり言い換えると、
- 今の気持ちをそのまま出す
- 起きた出来事だけを整理する
- 次に同じ状況になったときの「一つの行動」を決める
これだけです。
ノートでもスマホでも、メモアプリでもいいので、
新しいページを開いて、こんな感じで区切ります。
- 感情
- 事実
- 明日の一手
それぞれに2〜3行ずつ書ければ十分。
全部書けなくても、1行だけでもOKです。
ステップ別の書き方サンプルと、よくあるつまずき
ステップ1:感情を書くゾーン(心の声ゾーン)
ここは、きれいに書かなくて大丈夫です。
- 情けない
- 逃げたい
- 思い出すだけで胃が痛い
こういう言葉も、そのまま書いていいゾーンです。
例を一つ。
感情
- 本当に情けない
- あの沈黙を思い出すと、まだ顔が熱くなる
- 明日会社に行くのが少し怖い
ポイントは、
「自分はダメだ」ではなく「今はこう感じている」にすること。
× 自分は仕事ができない
〇 今日は仕事がうまく回らなかった気がする
感情は丸ごと否定せず、
「今の自分の状態」を写すイメージで書きます。
ステップ2:事実を書くゾーン(出来事ゾーン)
次に、事実だけを書きます。
例:
事実
- 17時締切のクライアントメールの返信を忘れていた
- 16時半の時点で、別の資料作成に集中していた
- 18時半に相手からリマインドメールが来て、慌てて返信した
ここでは、
- 「最悪」「ひどい」などの評価の言葉を入れない
- できるだけ時間や行動ベースで書く
ことを意識します。
× 大事なメールを完全にぐちゃぐちゃにしてしまった
〇 返信内容の文面は問題なかったが、送信時間が1時間半遅れた
こうして事実を切り出すと、
「ダメな自分」ではなく、「改善できるポイント」がだんだん見えてきます。
ステップ3:明日の一手を書くゾーン(アクションゾーン)
最後に、明日の一手を1つだけ書きます。
ここは、小さくていいです。
例:
明日の一手
- 16時の時点で、その日締切のメールを全部チェックする時間を5分とる
- すぐ対応できないメールには「あとで返信する」フラグをつける
- 緊急度の高い案件だけ、紙の付箋にも一つ書き出す
「もう二度と同じミスをしない」と書くよりも、
- 時間
- 場所
- 行動
が具体的なレベルまで落とした方が、実際に動きやすくなります。
紙とスマホ、どちらで書くか迷うときのチェック表
3ステップメモは、紙でもスマホでも構いません。
とはいえ、迷っているうちにやらなくなるのももったいないので、
ざっくり判定できるチェック表を置いておきます。
自分に合うメモの形チェック表
以下の項目で「あ、当てはまるかも」が多い方を選んでみてください。
Aタイプ(紙ノート向き)
- 手を動かすと少し落ち着く
- 書くときに、スマホ通知に邪魔されたくない
- ベッドに入る前に、机やテーブルで振り返る時間をとれそう
- 書いた文字を見返すと、気持ちが整理されやすい
Bタイプ(スマホメモ向き)
- 帰りの電車やベッドの中など、その場でサッと書きたい
- ノートを持ち歩く習慣はあまりない
- メモアプリを普段からよく使っている
- 過去のメモを検索したり、タグでまとめたい
どちらにも当てはまる場合は、
「今夜いちばん気楽に開けそうな方」を選べばOKです。
「頭の中で反省するだけ」と「3ステップメモ」の違い
イメージしやすいように、
何もしない夜と、3ステップメモを書いた夜の違いを並べてみます。
| 項目 | 頭の中だけで反省する夜 | 3ステップメモを書く夜 |
|---|---|---|
| 夜の気持ち | 同じシーンが何度も再生されて、自己否定が強まる | つらさは残るが、「ここまでは整理できた」という感覚が残る |
| 眠りにつくまでの時間 | 長くなりがち。スマホを見てさらに遅くなる | メモを書いたあとは、少し呼吸が落ち着き、寝る準備に入りやすい |
| 翌朝の最初の思考 | 「昨日やらかしたなあ…」からスタート | 「昨日こう書いたし、今日はここからやろう」に切り替えやすい |
| 同じミスへの向き合い方 | 「またやった」の自己否定で終わりがち | 「前と同じかどうか」をメモを見ながら確認できる |
| 自分への言葉のトーン | 「なんでこんなこともできない」 | 「ミスはしたけど、次はこうしてみよう」に寄っていく |
メモを書いたからといって、
ミスがなかったことにはなりません。
それでも、
「自分へのダメージの残り方」は、はっきり変えられます。
Q&A:ミスの振り返りがつらすぎるときに
Q1. ミスを振り返ると、自分を責める言葉ばかり出てきます
A. まずはその状態が「普通に起こりやすい」と知っておいてほしいです。
いきなり3ステップ全部を書こうとせず、
その日はステップ1の「感情ゾーン」だけでも大丈夫です。
- 「情けない」
- 「消えたい」
- 「またやってしまった」
こういう言葉を、そのまま紙に出すだけでも、
頭の中で一人反省会を続けるより、少しだけ落ち着けます。
慣れてきたら、
「じゃあ、何が起きたんだっけ」とステップ2を1行足すくらいに進めていきましょう。
Q2. 大きなミスをした日は、ペンを持つ気力もありません
A. そういう日は、本当に無理をしなくて大丈夫です。
大きなミスの直後は、
感情の波が高すぎて、冷静な振り返りどころではなかったりします。
その場合は、「タイトルだけメモ」でも構いません。
- 日付と
- 「今日の件、落ち着いたら振り返る」の一行
これを書いておくだけでも、
「ちゃんと向き合うつもりはある」と自分に約束できます。
振り返りの本番は、
すこし時間がたって心拍が落ち着いてからでも遅くありません。
Q3. 上司に責められた言葉が頭から離れません
A. 上司の言葉と、自分の本音を分けて書くのがおすすめです。
メモにスペースを二つ作って、
- 上司の言葉
- 自分の気持ち
と分けて書いてみます。
上司の言葉
- 「こんなの基本だろ」
- 「なんで確認しなかったの」
自分の気持ち
- 確かに基本なんだけど、あの状況だと他にも優先があった
- 次は確認のタイミングを先に決めておきたい
こうすると、「言われた言葉全部=真実」ではなく、
自分なりの解釈や次の一手を見つけやすくなります。
まとめ:ミスは残る。でも、自分へのダメージは変えられる
仕事でミスをした夜、
心の中では「消えてしまいたい」と思うくらい落ち込むことがあります。
その気持ちを否定する必要はありません。
むしろ、そのくらいちゃんと向き合っている証拠でもあります。
ただ、
- 何度も同じシーンを再生して
- 自分を責めて
- 眠れないまま次の日を迎えて
このループが続くと、
心も体も、少しずつ削られていきます。
そこで、今日の提案はひとつです。
ミスした夜には、
頭の中だけで反省するのではなく、
- 感情
- 事実
- 明日の一手
この3つを、3ステップメモとして外に出してみること。
全部を完璧に書く必要はなくて、
「1行ずつ」から始めても大丈夫です。
今夜、もし少しだけエネルギーが残っているなら、
こんなフォーマットをそのまま使ってみてください。
感情
- 今日は〇〇でミスして、まだ心がざわざわしている
事実
- △時に、××の対応を忘れた
明日の一手
- 明日は□時に、同じ種類の対応がないか5分だけ見直す
ミスが消えるわけではありません。
それでも、「ミスした自分」を丸ごと否定せずに、
少しだけ優しく明日にバトンを渡せるはずです。
次に同じような夜がきたら、
そのときは、3ステップメモをそっと思い出してあげてください。





