目次
先延ばしをやめるには「意志」より「設計」を変える
REIです。
先延ばしをやめる話をするとき、最初に結論から伝えたいことがあります。
それは、先延ばしは意志の弱さではなく、仕組みと設計の問題だということです。
今、画面の前で胸が少し重くなっているなら、その感覚ごと否定せずに読み進めてほしいです。
この記事の終わりまでつき合ってもらえれば、今日このあとにやることを一つだけ、静かに選べるように整えていきます。
夜、布団の中でスマホの明かりだけが顔を照らしているとき。
頭の片すみには、やらなきゃいけない作業や、返信していないメッセージが並んでいるのに、指は別のアプリを開いてしまう。
気づいたら時間だけが過ぎていて、ため息と一緒に「また今日もやらなかった」とつぶやく。
そんな瞬間が続くと、自分にがっかりしてしまいますよね。
ここから先は、あなたを責めるための話ではありません。
先延ばしが起きる構造をいったん分解して、意志や根性に頼らずに動けるように組み直していくための、ゆっくりした分解作業です。
途中でしんどくなったら、一度画面を閉じてもかまいません。
そのときは、どこまで読んだかだけ覚えておいて、また戻ってきてもらえたらうれしいです。
先延ばしは「意志が弱いから」ではない
先延ばしをしてしまうと、多くの人は真っ先に自分を責めます。
「やる気がない」「ダメな性格だ」とラベルを貼ってしまうと、そこで思考が止まり、解像度が上がらなくなります。
でも、実際に起きていることはもう少し細かいです。
例えば、仕事で大きめの資料作成があるとします。
頭の中ではだいたいの流れが分かっているのに、ファイルを開くまでが遠い。
デスクに座っても、なぜかメールチェックやニュースアプリに手が伸びてしまう。
気づけば、着手に使えたはずの30分が、そのまま消えてしまう。
このとき、あなたの内側ではこんなことが起きています。
- 作業の全体像が大きく見えすぎて、どこから手をつければいいか分からない
- うまくできるかどうか分からず、不安だけが先に立つ
- 失敗したときの評価や恥ずかしさを、無意識に避けようとしている
つまり、先延ばしは「危険や不快から身を守るための反応」としても働いているのです。
誰かに殴られるわけでもないのに、脳はそのタスクを危険物として扱ってしまう。
だから、意志だけで押し切ろうとすると、いつか反動が来ます。
ここで大事なのは、先延ばしを「悪い癖」として片付けないことです。
意志の問題だと決めつけると、対策が「もっと頑張る」「自分に厳しくする」ぐらいしか残りません。
しかし、構造として見ていくと、本当は変えられるレバーがいくつもあると分かってきます。
この章では、先延ばしを次の三つのレイヤーに分けて考えていきます。
- 頭の中の設計
- 感情の扱い
- 環境とエネルギー
このあと、それぞれを整理したうえで、あなた自身のパターンをチェックできるようにしていきます。
まずは、ぼくと一緒に自分を責める視点から少しだけ離れてみましょう。
自分の先延ばしパターンをチェックする
ここからは、いまのあなたがどんなパターンで先延ばしにはまっているのかを、軽いチェックで確かめていきます。
テストというより、「いつもの自分のクセに名前をつけてみる」くらいの感覚で大丈夫です。
当てはまるものが多いところが、今のあなたの主なパターンです。
先延ばしチェック表
次の項目で、当てはまるものの数を数えてみてください。
チェックは心の中でもいいですし、余裕があれば紙やメモアプリに印をつけてみても構いません。
| 項目 | 当てはまる度合い |
|---|---|
| 気になるタスクを思い出すとき、最初に浮かぶのは「どこから手をつければいいか分からない」という感覚だ | |
| 完成形を頭の中でイメージしすぎて、理想とのギャップを考えると手が止まることが多い | |
| 締切が近づくほど、むしろ動き出すまでに時間がかかる | |
| うまくできなかったときに他人からどう見られるかを想像して、着手前に疲れてしまう | |
| タスクに向かおうとしても、ついスマホや別の作業に手が伸びてしまう | |
| 作業スペースから手を伸ばせば、娯楽になるもの(スマホ、ゲーム、動画配信など)がすぐ届く位置にある | |
| 最近、寝る時間が遅くなりがちで、朝起きた瞬間からすでに少しだるい | |
| 「やらなきゃ」と思うタスクが多すぎて、リストを見るだけで気持ちが沈む | |
| 過去に何度も「三日坊主だから」と自分で言ったことがある | |
| 一度崩れた習慣を立て直そうとするとき、強めの自己嫌悪や恥ずかしさが先に出てくる |
ざっくりした目安として、次のようにイメージしてみてください。
- 上の方(1〜3)に多くチェックがつく場合:頭の中でタスクが大きくなりすぎるパターン
- 中央付近(4〜6)に多い場合:不安や評価への怖さと、環境の誘惑が強いパターン
- 下の方(7〜10)に多い場合:エネルギー不足と自己否定が絡んだパターン
もちろん、きれいに分かれるわけではなく、混ざっていることがほとんどです。
ここで目的にしたいのは、「自分はだらしないから」ではなく、「今の設計だとこういうクセが出やすいのか」という観察に切り替えることです。
一つだけ覚えておいてほしいのは、どのパターンであっても、取りうる選択肢が用意できるということです。
このあと、パターンごとに効きやすい行動を比べながら、あなたに合う最初の一手を一緒に探していきます。
もし今の段階で、いくつかの項目にチェックがついているなら、その時点で一歩前に進んでいます。
原因がぼんやりした霧から、少しだけ形を持ち始めた状態になっているからです。
先延ばしの原因タイプ別に効きやすい行動を比べる
先延ばしの背景にはいろいろな要素が絡みますが、ここでは分かりやすくするために、次の四つのタイプとして整理してみます。
- 完成度を気にしすぎて動けなくなるタイプ
- 不安や評価の怖さで止まるタイプ
- 環境の誘惑に流されやすいタイプ
- そもそものエネルギーが足りなくなっているタイプ
実際には混合している人が多いので、「自分はこれ一本」と決める必要はありません。
ただ、メインで色が強いのはどれか、二番目に強そうなのはどれか、くらいの感覚で読んでもらえれば十分です。
タイプ別行動の比較表
ここで、一度全体を一覧で眺めてみましょう。
細かい説明は後の段落でしていきますが、まずは自分が気になる列から見てみてください。
| 原因タイプ | よくある状態 | ありがちなつまずき方 | 今日からの最初の一手 | 続けやすくする工夫 |
|---|---|---|---|---|
| 完成度を気にしすぎる | 頭の中に理想の完成形がはっきりある | 着手前に理想と比べて落ち込み、手が止まることが多い | タスクを途中でいい前提で分割し、あえて未完成のまま保存する | 途中経過を誰かと共有する、あらかじめここまでで一度止めると決めておく |
| 不安・評価が怖い | 人の目や失敗後の反応が先に浮かぶ | ミスしたあとの想像にエネルギーを使い、取りかかる前に疲れる | 完成前提ではなく試しに出してみる小さな実験を一つ決める | 信頼できる一人にだけ見せる場を作る、ネガティブな想像を書き出して外に出す |
| 環境の誘惑が強い | スマホや娯楽がすぐ手の届く場所にある | 作業に向かうはずが、別のアプリやサイトを開いている | 作業をする場所から、物理的に誘惑物を一つだけ遠ざける | 作業モード用の机やブラウザを分ける、この席ではこれしかしないと決めておく |
| エネルギー不足 | 寝不足や疲労で体が重い | 集中どころか、椅子に座ること自体がしんどい | タスクに手をつける前に、まず休む時間と回数を確保する | 睡眠時間の確保を最優先にし、そのうえで一番重要な一つだけを先に処理する |
この表を見たときに、「全部当てはまっている気がする」と感じても大丈夫です。
それは、日によって状態が揺れているだけで、あなたの中に多彩なパターンがあるということでもあります。
ここでのポイントは、自分の問題を一つに決めつけることではなく、
「今日はどの要素が一番強く出ているか」を観察することです。
今日は完成度のこだわりが強いのか、環境の誘惑が強いのか。
そのときどきで、効きやすい一手は変わってきます。
次の段落からは、それぞれのタイプについてもう少しだけ深く見ていきます。
読みながら、「今日はこのタイプ寄りだな」と感じるところを起点にしてもらえたらと思います。
完成度を気にしすぎて動けないときの扱い方
完成形のイメージがはっきりしている人ほど、先延ばしにはまりやすい面があります。
頭の中に、クオリティの高いゴールが鮮明にあるほど、最初の一手とのギャップが大きく感じられてしまうからです。
例えば、レポートを書こうとするとき。
理想の構成やテンポ、伝えたいことがうっすら見えているほど、第一文を書き出す瞬間に手が止まりやすくなります。
これは、理想が高いからこそのつまずきです。
このタイプに効きやすいのは、あえて「中途半端な状態で止める」という設計です。
最初から完成形を目指すのではなく、途中経過を積み重ねる方に意識を置いていきます。
具体的には、次のような一手があります。
- 文章なら、見出しだけ先に並べて、中身は後で埋める
- 作業時間を短く区切り、今日は途中までで保存するとあらかじめ決めておく
- 自分だけのメモとして、荒い箇条書きを先に書いてしまう
いちど、完成よりも「途中のまま保存すること」をゴールにしてみてください。
きれいに仕上げるのは、そのあとでいくらでもできます。
途中経過を残しておくことで、次にそのタスクを開いたときのハードルがぐっと下がります。
もし、ここまで読めているなら、今日は一つだけ、完璧を目指さずに途中で止めるタスクを選んでみるのも良いです。
不安や評価が怖くて止まるときの扱い方
誰かに見られる前提のタスクほど、先延ばしは起きやすくなります。
提出物、公開する文章、仕事の報告、メッセージの返信。
どれも、他人の目線がセットになっているものです。
頭の中で、「失敗したらどうしよう」「変に思われないだろうか」と想像している時間が長いほど、
実際の作業時間は削られていきます。
エネルギーの使い先が、作業ではなく不安のシミュレーションに向かってしまうのです。
ここで有効なのは、「完璧な成果物」ではなく、「試しに出してみる小さな仮案」を一つ決めることです。
たとえば、次のような動き方が考えられます。
- メールやメッセージなら、短い下書きを作り、あとで少しだけ整える前提で保存しておく
- 資料や報告なら、途中のものですがと付けて、信頼できる一人に先に見てもらう
- 完成前に、ここが不安ですと自分で書き出してから作業する
不安が強いときほど、頭の中でぐるぐる回している内容を外に出していくことが大切になります。
紙に書いてもいいし、メモアプリでもいい。
自分の不安を文章として眺めてみると、案外「ここだけ押さえれば大丈夫かもしれない」と見えてくることが多いです。
ここまでの内容で、もし心当たりがあるなら、今日はひとつだけ、途中の状態で見せてみる場面を選んでみるのがおすすめです。
完璧にしきらないまま出してみることで、それでも案外なんとかなるという感覚が少しずつ積み上がっていきます。
環境の誘惑に流されるときの扱い方
机に座ったはずなのに、気づいたら動画サイトやSNSを眺めている。
一度スマホを手に持ってしまうと、戻ってくるのに時間がかかる。
そんなときは、能力ではなく「環境設計」が主な原因になっていることが多いです。
人は、目の前にあるもの、手の届く場所にあるものに自然と引っ張られます。
集中力を鍛える前に、そもそも誘惑を減らす方が早いケースも多いです。
とはいえ、いきなりスマホを完全に別室に置く、アプリを全部消す、といった極端な対策は長続きしません。
ここで目指したいのは、「少しだけ遠ざける」という現実的な調整です。
例えば、次のような一手があります。
- 作業中だけ、スマホを裏向きにして、視界から外す
- ブラウザを二つに分けて、仕事用と娯楽用でウィンドウを分けておく
- 作業をする机と、休む場所を物理的に分ける(椅子を変えるだけでも効果があります)
大事なのは、この席に座ったら、これだけをするというルールを作ることです。
それは厳しい掟である必要はなく、むしろ優しい制限であるほうがいい。
例えば、この机では、たった一つのタスクの最初の三分だけやると決めてみる。
もし今、あなたがソファやベッドの上でこの記事を読んでいるなら、読み終わったあとで作業専用の場所を一つだけ決めてみるのも良いです。
テーブルの端でも、小さな折りたたみ机でもかまいません。
そこを、先延ばしをほどくための小さな拠点にしていきましょう。
エネルギー不足のときに、先延ばしを責めない
最後に、そもそもエネルギーが足りていないケースについて触れておきます。
睡眠不足が続いていたり、仕事や人間関係で消耗していたり。
心身のストックが減っているときには、集中以前に「椅子に座る」だけでもハードルになります。
この状態で、さらに自分を追い込むような言葉を重ねてしまうと、消耗のスピードが加速します。
まず必要なのは、タスクより先に、自分の土台を整えることです。
具体的には、次のような一手から始めるのが現実的です。
- 睡眠時間を、可能な範囲で三十分だけ増やしてみる
- 平日に詰め込みすぎている予定を、一つだけ減らす
- タスクの量ではなく、「今週はこれだけできれば合格」という最低ラインを下げる
先延ばしを「やめる」ことよりも、まず「休むことを許す」こと。
それが回り道に見えて、じつは一番の近道になることがあります。
もし、この記事を読んでいる今のあなたが、すでにかなり疲れている自覚があるなら。
このあとに出てくるステップも、「全部やらなきゃ」とは考えずに、読めるところまでで十分だと、ぼくは本気で思っています。
今日からできる先延ばし卒業の五つのステップ
ここまでで、自分のパターンについて少しイメージがついてきたと思います。
ここからは、実際に今日から動くための流れを、五つのステップに分けて整理します。
すべてを一度に完璧にやる必要はありません。
どこか一つでも、気になったところから拾ってもらえたらそれで十分です。
ステップ1:先延ばし中のタスクをひとつだけ書き出す
最初にやることは、とてもシンプルです。
いま先延ばししている中で、一番頭の片すみに居座っているタスクを一つだけ紙やメモに書き出します。
- 仕事の資料作成
- 読まなきゃいけないメール
- 部屋の片づけ
- 勉強や資格の準備
どれでもかまいません。
どれが一番大事かではなく、どれが一番「思い出したときに胸がざわつくか」で選んでみてください。
タスクの中身ではなく、それを抱えているあなたの心の重さを基準に決めていいのです。
ここまで読めているなら、この段階で一度スクロールを止めて、ひとつ書き出してみるのも良いです。
ほんの数十秒の行動ですが、頭の中だけで抱えていたものを外に出すこと自体が、先延ばしをほどく入り口になります。
ステップ2:そのタスクを「三分でできる最初の一手」にまで分解する
次に、そのタスクを三分でできるレベルまで細かくします。
ポイントは、「これなら三分あれば絶対に終わる」と自分で思えるくらい小さくすることです。
例えば、「資料作成」がタスクなら、
- 過去の資料フォルダを開くだけ
- 新しいファイルを作って、タイトルだけ入れる
- 目次になりそうな見出しを三つだけ書く
ここまで分解してはじめて、「三分でできそうだな」と感じられます。
もし「三分では無理かも」と感じたら、まだ大きいというサインです。
もっと荒く、もっと小さくしてしまって大丈夫です。
分解しながら、「こんな小さなことをやって意味があるのか」と感じるかもしれません。
でも、先延ばしをほどくうえで一番大事なのは、「ゼロから一」を超える最初の瞬間です。
そこで負荷をかけすぎないことが、継続のほとんどを決めてしまいます。
ステップ3:三分の着手時間を、今日のどこかに予約する
三分でできる一手が決まったら、その実行時間を今日のどこに置くかを決めます。
スケジュール帳やカレンダーがあるなら、そこに書き込んでもいいですし、スマホのアラームを使ってもかまいません。
おすすめなのは、次のどこかに配置することです。
- 夜遅くなる前のすきま時間
- 食事の前後など、もともと区切りがあるタイミング
- 他の作業の前に、ウォーミングアップとして置く
「いつかやる」だと、ほぼ確実に別のことに飲み込まれます。
人は、すでに埋まっている予定を動かすより、「空白に何かを押し込む」ほうが苦手です。
だからこそ、三分でいいので、先に場所を確保してあげることが大切になります。
このステップまで来たら、先延ばしの状態からはすでに一歩離れています。
あとは、予約した時間が来たときに、「三分だけならやってみてもいいか」と思えるかどうかです。
ステップ4:やり終えたら、小さな達成を見える形で残す
三分の一手をやり終えたら、その事実を目に見える形で残します。
チェックマークをつける、日付と一緒にメモする、カレンダーに印をつける。
やり方は好きなものでかまいません。
ここでの目的は、「できなかった日」ではなく「できた日」の記憶を増やしていくことです。
人はどうしても、自分の失敗のほうを強く覚えます。
だから意識的に、「できた」記録を視界に置いてあげる必要があります。
例えば、一週間のうち三日だけでも、三分の一手ができたなら、
それは先延ばしをやめるための大きな一歩です。
ゼロのまま七日間が過ぎるよりも、ずっと意味があります。
ステップ5:明日以降続けるなら、ハードルを上げない
最後に、続けるかどうかを決めるときの注意点です。
うまくいくと、人はすぐにハードルを上げたくなります。
「昨日三分できたから、今日は三十分やろう」といった具合に。
もちろん、それでできてしまうなら問題はありません。
ですが、多くの場合、それが再び先延ばしの入口になってしまいます。
大事なのは、「やる量」ではなく、「ゼロを避ける頻度」です。
明日以降どうするかを考えるときには、次のような問いを自分に投げかけてみてください。
- 同じ三分を、あと何日なら続けられそうか
- もし忙しい日が来たら、その日はどこまでできたら合格にするか
- 休む日をあらかじめ一日決めておくとしたら、いつにするか
続けるかどうかを決めるときも、やはり「優しい設計」が鍵になります。
それは甘えではなく、長期的に見ると最も現実的な戦略です。
よくある不安と疑問を、先にほどいておく
ここまで読んで、少しずつやることのイメージが出てきた一方で、
まだ心のどこかに引っかかっている不安もあるかもしれません。
この章では、先延ばしに関してよく寄せられる疑問を、いくつかまとめておきます。
Q1: 先延ばしがひどいのは、やっぱり性格の問題でしょうか
長いあいだ先延ばしが続くと、「自分はこういう人間なんだ」と決めつけたくなります。
ですが、先延ばしは性格だけで説明できるものではありません。
これまで見てきたように、頭の中の設計、感情の扱い方、環境やエネルギーなど、複数の要素が絡んでいます。
性格と呼んでいるものの多くは、これまでの積み重ねによって形作られた「慣れ」でもあります。
三分の一手のような小さな行動を積み重ねることで、その慣れを少しずつ書き換えていくことは十分可能です。
もしどうしても自分を責めてしまうときは、
今までの自分が、このやり方でなんとか生き延びようとしてくれていたと考えてみてください。
そのうえで、これからは別のやり方を試してみるだけです。
Q2: もしかして病気なのでは、と不安になることがあります
先延ばしが強く出ているとき、発達の特性や心の不調が関係している場合もあります。
集中しようとしてもどうしても切り替えができない、
日常生活のあちこちで支障が出ている、
気分の落ち込みが長く続いている。
そういった状態が続くときは、一人で抱え込まず、専門家に相談する選択肢を持ってほしいです。
一方で、「少し疲れている」「忙しさが重なっている」というだけのタイミングもあります。
この記事で提案しているような小さな一手を試してみて、
それでも日常生活の基盤が大きく揺らいでいると感じるなら、
そのときは病院や相談窓口を使う合図だと考えてもらえれば大丈夫です。
Q3: 締切のないタスクが、いつまでも後回しになります
片づけや健康、趣味の勉強など、締切がないタスクは、どうしても後回しになりがちです。
人は、目の前の緊急なことに反応するようにできているからです。
ここで効きやすいのは、「締切を自作する」のではなく、「場と時間を決めてしまう」ことです。
- 毎週同じ曜日に、同じ時間だけ片づけをする
- 歩く時間を、通勤や移動のルートと結びつける
- 勉強の時間を、特定のカフェや席に紐づける
締切を無理に作ると、守れなかったときの自己嫌悪が大きくなります。
それよりも、この時間帯はこの行動に使うと、ゆるやかに枠を決めてしまう方が続きやすくなります。
Q4: 在宅で働いていると、誘惑だらけでまったく集中できません
家の中で仕事や勉強をしていると、目の届く範囲に誘惑が溢れます。
ベッド、テレビ、冷蔵庫、ゲーム機。
これは、あなたがだらけているからではなく、環境としてそうなりやすいだけです。
すべてを完璧に片づけようとすると、そこで力尽きてしまいます。
現実的なのは、「誘惑を一つだけ遠ざける」ことです。
- スマホを別の部屋に置くのが無理なら、せめて手の届かない棚に置く
- テレビやゲーム機の電源コードを、一度抜いておく
- 作業中だけは、椅子の向きを変えて、誘惑の少ない方向を向く
環境は、一気に変えなくても大丈夫です。
一つ動かすたびに、自分の集中のしやすさがどう変わるかを観察しながら、少しずつ調整していきましょう。
Q5: 一度決めたステップを守れなかったとき、どう立て直せばいいですか
せっかく決めた三分の一手が、ある日できなかったとき。
その瞬間に、「やっぱり自分は続けられない」と感じてしまう人は多いです。
ここで大事なのは、「できなかった日」を失敗として扱わないことです。
できなかった日には、その日そのときの事情が必ずあります。
忙しさだったり、体調だったり、気持ちの乱れだったり。
立て直すときのコツは、次の三つです。
- できなかったことではなく、「なぜその日だけできなかったのか」を具体的に書き出す
- 翌日は、前の日よりも小さい一手から再開する
- 三日続けてできなかったら、そもそもの設計を見直すサインだととらえる
継続とは、途切れないことではなく、「途切れたあとに戻ってくる回数」のことです。
戻ってくるたびに、先延ばしへの付き合い方は少しずつ変わっていきます。
続けるための工夫と、うまくいかなかった日の守り方
ここまで、先延ばしをほどくための具体的なステップや考え方を並べてきました。
最後に、続けていくうえでの守り方について、もう少しだけ触れておきます。
三日坊主は、悪いこととは限らない
何かを始めるとき、多くの人が気にするのが「三日坊主になってしまうこと」です。
しかし、三日坊主というのは、少なくとも三日は続いたという事実でもあります。
大事なのは、「続かなかった」という一点だけで自分を判断しないことです。
三日間できたなら、その三日の中に、あなたが実際に取った行動と感覚のログが残っています。
それを振り返ることで、次に生かせるヒントはいくらでも見つかります。
もし今、過去に続かなかったことを思い出して苦くなっているなら、
その中から一つだけ、「やって良かった瞬間」を探してみてください。
そこには、今のあなたにとって大事なエッセンスが必ず含まれています。
忙しい日用の「最低ライン」を決めておく
完璧を目指すほど、忙しい日や調子の悪い日に一気に崩れます。
そこで折れないようにするためには、「これだけできれば合格」という最低ラインを、あらかじめ決めておくことが役に立ちます。
例えば、
- 文章を書く日は、三行だけ書ければ合格
- 勉強の日は、一問だけ解ければ合格
- 片づけの日は、机の上の一角だけ片づけられれば合格
これくらいなら、どれだけ忙しくても、どこかでねじ込めるはずです。
その日がどれだけ大変でも、「合格ラインは超えた」と思えることが、自己評価を守ってくれます。
誰かと共有することで、優しい責任感を作る
一人きりで先延ばしと向き合っていると、どうしても自分への視線が厳しくなりがちです。
そこで役立つのが、信頼できる誰かと小さく共有することです。
大げさな宣言をする必要はありません。
今日は三分だけやるつもりとメッセージで伝えるだけでもいい。
終わったら、できたと一言送る。
それだけで、自分との約束を守る感覚は変わります。
もし、周りにそういう人がいないと感じるなら、
ノートや日記帳を、その役目にしてしまうのも一つの手です。
書き残した文字は、未来のあなたの味方になってくれます。
どの方法を選ぶか迷ったときの基準
ここまで読んできて、やることの候補がいくつか頭に浮かんでいるかもしれません。
最後に、「結局どれから始めればいいか」を決めるための基準を、箇条書きでまとめておきます。
- 今一番胸がざわつくタスクから、一つだけ選ぶ
- 三分でできるかどうかを基準に、最初の一手を決める
- 完成度を求めるより、「途中で止めること」をゴールにして選ぶ
- 自分を厳しく追い込む方法ではなく、「これなら少し気が楽になる」と感じる方法を選ぶ
- 明日も続けることを想像したときに、「それならなんとか」と思えるものを選ぶ
どれだけ良さそうな方法でも、あなたの生活の中で実行できなければ意味がありません。
だからこそ、「一番すごい方法」ではなく、「一番やさしく始められる方法」を選んでほしいです。
今日、ここから一つだけ
先延ばしをやめることは、自分を変えることそのもののように感じて、重たく見えるかもしれません。
でも本質は、「未来の自分を少しだけ楽にするために、今の自分が小さなプレゼントを用意してあげる」という行為です。
そのプレゼントは、派手である必要はありません。
三分の一手、途中で止めるタスク、スマホを少し遠ざける工夫。
どれも、やっている最中は小さすぎて、変化を感じないかもしれません。
けれど、数日、数週間とたつうちに、
前よりも、自分を責める時間が減ってきたかもしれないと気づく瞬間がきます。
そのとき、あなたはもう先延ばしと別の関係を結び始めています。
ここまで読んでくれたあなたに、ぼくからお願いしたいことはただ一つです。
- この記事を閉じる前に、先延ばししているタスクを一つだけ書き出す
紙でもメモアプリでも、頭の中でもかまいません。
その一手が、今日のあなたの未来を、少しだけ軽くします。
ブラウザを閉じたあとも、また迷ったときにはここに戻ってきてください。
そのたびに、少しずつ違う場所から、一緒に設計を組み直していきましょう。





