夜、ベッドやソファに沈み込みながら、今日一日のことを思い返しているときに、ふっとよぎる瞬間があると思います。
また断れなかったな。
また無理して笑ってしまったな。
やさしいねと言われるほど、どこか自分だけ損をしているような気持ちになる。
そんな感覚に、覚えがありませんか。
ぼく自身も、昔から人の顔色を見て動くことが多くて、頼まれごとを断れない側の人間でした。
だからこそ、ここでは性格を責める話ではなくて、どこから先は自分を守っていいのかという境界線の話をしていきたいです。
この記事のゴールは一つだけです。
読み終わったあとで、ここから先はさすがに無理だなと思うラインを一つだけ言葉にして書き出せるようになること。
そのために、優しさがどこで短所に変わってしまうのか、一緒に整理していきますね。
目次
誰かのために頑張りすぎているとき、心の中で何が起きているのか
まずは、いまのあなたの心の中で起きていることから、そっと言葉にしていきます。
ありがとうと言われるほど苦しくなる矛盾
優しい人ほど、こういう矛盾に悩みやすいです。
- 感謝されると、うれしい気持ちもちゃんとある
- でもその裏側で、どこかモヤモヤや虚しさも同時にふくらんでいる
- 本当は断りたかったことほど、助かった、本当にありがとうと言われやすい
このとき心の中では、次のような葛藤が起きています。
- 役に立てた自分を認めたい気持ち
- 自分の時間や体力が削られたことへの小さな怒り
- その怒りを、こんなことでイライラするなんてと自分で押さえつける自己否定
外側から見ると優しい人なのに、内側では自分を責める声が強くなっていくので、どんどん疲れやすくなってしまいます。
衝突を避けるほど、心の中では衝突が増えていく
優しすぎる人の多くは、外側の衝突を避けようとします。
そのために、自分の予定や気持ちを後回しにしてしまうことが多いです。
- 本当は休みたいけれど、頼まれたら断れない
- 本当は嫌なのに、場の空気を壊したくなくて笑って流す
- 本当は傷ついたのに、気のせいだ、大したことないと片付ける
外側の世界ではトラブルが少ないかもしれません。
でもその分、心の中ではずっと衝突が起き続けています。
自分と自分がぶつかり続ける状態は、周りから見えにくいので、いつの間にか限界を超えていたという形で出てきやすいです。
優しすぎるとは何が起きている状態か整理してみる
ここからは、少し言葉を整えていきます。
優しさそのものは悪いものではありません。
短所に変わってしまうのは、優しさと境界線がくっついていないときです。
優しさそのものは問題ではない
まず、ここははっきりさせておきたいところです。
- 人の気持ちを想像できる
- 困っている人を見ると放っておけない
- 相手の立場に立って考えようとする
こうした性質は、本来とても貴重なものです。
職場でも、友人関係でも、家族の中でも、あなたがいることで救われている人は確実にいます。
問題になるのは、この優しさが自分を犠牲にしてでも発動してしまうときです。
境界線があいまいになるときに起きること
境界線があいまいな状態とは、たとえばこんな感覚に近いです。
- 相手の用事と自分の用事の境目が分からなくなる
- 相手の機嫌と自分の価値がセットになっているように感じる
- 断るかどうかの基準が、自分の限界ではなく相手がどう思うかになっている
この状態が続くと、次のような変化が起こります。
- 自分の本音が分かりにくくなる
- 疲れていても気づきにくい
- ふとしたときに一気にイライラや虚しさが爆発する
優しさが問題なのではなくて、どこまでなら差し出しても大丈夫かという線を決めていないことが、苦しさの正体に近いです。
チェックリスト:優しさが短所に変わっているサイン
ここで一度、自分の状態を見える形にしてみましょう。
当てはまるものに、心の中でチェックを入れてみてください。
優しさが短所モードに入っているかチェック
| 項目 | チェック |
|---|---|
| 頼まれごとをされると、断る前にどうやって全部こなそうかを考えてしまう | □ |
| 断ったあと、かなり強い罪悪感におそわれる | □ |
| 相手の機嫌が悪そうだと、自分のせいだと感じやすい | □ |
| 忙しくても、つい大丈夫ですと言ってしまう | □ |
| 疲れが限界に近いときほど、人の言動に過敏になってしまう | □ |
| 別に断ってもよかったはずのことまで引き受けてしまった経験が多い | □ |
| あのとき本当は嫌だったと、後から何度も思い返すことがある | □ |
| 人に頼るより、自分が何とかしたほうが早いと思ってしまう | □ |
| 優しいねと言われるほど、心の中では少し冷めている自分がいる | □ |
| 休みの日も、誰かの予定を優先してしまうことが多い | □ |
チェックが
- 0〜2個なら、いまのところ優しさが大きな負担にはなっていない可能性が高いです。
- 3〜5個なら、そろそろ境界線を整え始めるタイミングです。
- 6個以上なら、かなり自分を削って頑張っている状態に近いと思います。
ここで大事なのは、たくさん当てはまったとしても、自分を責めないことです。
これは性格の欠点リストではなく、どこから整えていけば楽になるかを一緒に探すための地図のようなものです。
チェックが多かった人ほど、この先の境界線の話がじわっと効いてきます。
なぜ優しさが短所に変わってしまうのか(境界線の構造)
ここからは、なぜそうなってしまうのかを少し構造として見ていきます。
原因を知ることは、自分を責めるためではなくて、自分を守るルールを作るためです。
心の中で優しさが生まれる三つのルート
優しさには、おおまかに三つのルートがあります。
- 相手の痛みに自然に共感してしまうルート
- 自分も昔つらかったから、同じ思いをさせたくないというルート
- 役に立つことで、自分の価値を感じたいというルート
どのルートも、本質的には悪いものではありません。
ただ、最後のルートが強くなりすぎると、役に立てない自分には価値がないという考え方に結びつきやすくなります。
そうなると、
- 無理なお願いをされたときも、断ることができない
- 頼られなくなることが怖くて、限界を超えて頑張ってしまう
という状態になりやすいです。
境界線を薄くしてしまう心の思い込み
優しすぎる人の境界線を薄くしているのは、多くの場合、次のような思い込みです。
- 断ったら嫌われる
- 断るのは冷たい人がすることだ
- 自分が我慢すれば、全部丸く収まる
- 相手より自分を優先するのは、わがままだ
この思い込みが強いとき、心の中の判断基準はこうなります。
- 自分がどう感じるかよりも、相手がどう感じるかを優先する
- 自分の限界よりも、相手の期待に合わせて動く
その結果、優しさが自分を守らず、むしろ自分を削ってしまう方向に働いてしまうのです。
周りの環境が優しすぎるモードを固定してしまうこともある
もうひとつ、見逃せない要素があります。
それは、周りの環境です。
- いつも同じ人ばかりに仕事が集中する職場
- 頼みやすい人にばかり負担が偏るコミュニティ
- 我慢して頑張ることが当たり前とされている家庭や文化
こうした環境にいると、優しい人がますます優しさを使い続けることになります。
そして、周りの人もだんだんそれに慣れていきます。
気づいたときには、
- あの人ならやってくれるという空気ができている
- 頼まれる側も、ここで断ったらがっかりされるかもと感じてしまう
その結果、構造としても優しすぎるモードが固定されてしまいます。
比較表:自己犠牲の優しさ/健全な優しさ/無関心の違い
ここで一度、どんな優しさを目指したいのかを整理してみましょう。
同じ優しさでも、そこにあるバランスによって、まったく質が変わります。
三つのスタイルを比較してみる
次の表は、あくまでイメージをつかむためのものです。
自分がどのパターンに近いか、ざっくり眺めてみてください。
| 項目 | 自己犠牲の優しさ | 健全な優しさ | 無関心 |
|---|---|---|---|
| 関心の向き | 相手に強く向いていて、自分にはあまり向いていない | 相手と自分の両方に向いている | どちらにも向きにくい |
| エネルギーの使い方 | 自分の限界を超えても差し出してしまう | 自分の余力の範囲で差し出す | ほとんど差し出さない |
| その場の空気 | 一時的にうまく回るが、どこか歪みが残る | お互いに息がしやすい空気が残る | 相手の孤独感が強まりやすい |
| 長期的な結果 | 燃え尽きやすく、不満がたまりやすい | 関係が長く続きやすい | 関係が浅くなりやすい |
| 自分の感情 | 感謝されても満たされにくい | 感謝されると素直にうれしい | あまり動かない |
ここで目指したいのは、もちろん真ん中の健全な優しさです。
無関心になりたいわけではなく、自分をすり減らさずに相手を大事にできる状態に近づきたいのだと思います。
そして、その真ん中に近づくために必要なのが、境界線です。
小さな境界線を引くための基本の考え方
ここからは、具体的に境界線を引いていくための考え方とステップをまとめていきます。
いきなり全部を変えるのではなくて、ほんの少しだけ線を濃くするイメージで読んでもらえたらうれしいです。
境界線は人間関係を切る線ではなく関係を長く続ける線
境界線という言葉を聞くと、
- 冷たい
- 突き放す
- 壁を作る
こんなイメージを持つ人も多いと思います。
でも、ここで話したい境界線は、その逆です。
お互いに長く付き合うために必要な線です。
- 無理をして笑っている相手と付き合い続けるのは、相手にとってもどこか苦しい
- 自分の限界を言えない関係は、いつか突然壊れやすい
だからこそ、少しずつでも線を引いていくことは、関係を守るための行動でもあります。
「できる」「やりたい」「やるべき」を分けてみる
境界線を引くときに役に立つのが、次の三つを分けて考えることです。
- できること
- やりたいこと
- やるべきこと
優しすぎるとき、ここが全部まとめて一つになってしまっています。
- できるからやる
- 頼まれたからやる
- 期待されていそうだからやる
この三つが混ざると、自分の気持ちがどこにも残らないまま動くことが増えていきます。
境界線を整える最初の一歩は、やろうとしていることが、この三つのどれに近いのかを自分の中で確認してみることです。
具体ステップ:今日から試せる小さな境界線の引き方
ここからは、もう少し具体的なステップに落としていきます。
完璧にやろうとする必要はないので、できそうなところだけ拾ってもらえたらうれしいです。
ステップ1:優しさが短所に変わる場面を三つ書き出す
まずは、次のような場面を思い出してみてください。
- 本当はしんどかったのに、引き受けてしまった頼まれごと
- 本当は嫌だったのに、笑ってごまかした出来事
- 本当は傷ついたのに、何も言えなかった会話
この中から、特に印象に残っているものを三つ、ノートやスマホに書き出してみてください。
箇条書きで大丈夫です。
そのうえで、それぞれの横に一行だけ、こう書き添えてみてほしいです。
- 本当はどうしたかったか
- 本当は何と言いたかったか
ここでいきなり行動を変えなくても大丈夫です。
まずは、自分の本音を自分にだけは聞かせてあげることが大切です。
ステップ2:自分の中のレッドラインを一つ決める
次に、さきほど書き出した三つの場面を眺めながら、こう自分に問いかけてみてください。
- これ以上繰り返したくないパターンはどれか
- 一番あとから思い出してつらくなるのはどれか
その中から、一番傷が深いと感じるものを一つ選びます。
そして、こういった形で言葉にしてみてください。
- 残業続きで体調が崩れかけているときは、新しい仕事をその場で引き受けない
- 休みの日の予定は、週に一回は自分のためだけに空ける
- 大事な予定がある日の頼まれごとは、基本的に断る
ここでのポイントは、抽象的な宣言ではなく、具体的な場面とセットで決めることです。
たとえば「これからは自分を大事にする」だと、きれいだけれど行動に落ちにくいです。
それよりも「この条件のときは、こうする」という形で決めたほうが、境界線として機能しやすくなります。
ステップ3:柔らかい断りフレーズを一つだけ持っておく
境界線を引くうえで、多くの人がつまずきやすいのが「断り方」です。
そこで、口にしやすいフレーズを一つだけ、手元に置いておきましょう。
たとえば、こんな感じです。
- 今ちょっと立て込んでいて、ちゃんと受ける余裕がなさそうです
- すごくうれしいんですが、今回は他の予定を優先させてもらってもいいですか
- 手伝いたい気持ちはあるんですが、今の状態だと中途半端になってしまいそうで心配です
ポイントは、次の三つです。
- 完璧に断ろうとしなくていい
- 相手を否定するのではなく、自分の状態の話をする
- 罪悪感を減らすために、できれば「気持ちはある」という一言を添える
この中から、一つだけ選んで、自分の言葉に少しだけアレンジしてみてください。
それを、スマホのメモや手帳に書いておくと、いざというときに口にしやすくなります。
ステップ4:今週一度だけ、そのフレーズを使う場面を決める
次に、カレンダーや一週間の予定を思い浮かべながら、こう考えてみてください。
- 今週、頼まれごとが来そうな場面はどこか
- そこで限界に近づきそうなタイミングはどこか
そして、「この場面で頼まれごとが来たら、さっき決めたフレーズを試してみる」と事前に決めておきます。
ここで大事なのは、一週間に一回でいいというところです。
毎回完璧に境界線を引こうとすると、それだけで疲れてしまいます。
一回だけでいいので、「前より少しだけ自分を優先してみる」体験をつくってあげてください。
ステップ5:信頼できる人に、自分の方針を少しだけ共有する
最後に、もし可能であれば、次のような人に自分の方針を少しだけ共有してみるのもおすすめです。
- あなたの頑張りを見てくれている同僚や友人
- 無理をしていることに気づいてくれるパートナー
- 家族の中で、比較的話しやすい相手
たとえば、こんな一言で十分です。
- 最近ちょっと無理していたなと思ったから、仕事の受け方を少し変えようと思っている
- これからは、休みの日を週に一日はちゃんと空けておきたい
こうやって、自分の中だけのルールを、外の世界にも少しだけ見える形にすると、境界線が現実の中で機能しやすくなります。
ぼく自身が壊れかけたときの話
ここで少し、ぼく自身の話も置いておきます。
きれいごとだけだと、読んでいてしんどくなることもあると思うので。
便利な人になろうとしていた頃
昔のぼくは、とにかく「役に立つ人」でいたかったです。
- バンドをやっていた頃は、みんなのスケジュールを合わせる役
- バイトでは、シフトが埋まらないときに真っ先に呼ばれる人
- 友だちの相談には、夜中でも駆けつける人
頼られることがうれしかったし、そこにしか自分の価値がない気もしていました。
でもある日、ふと気づいたんです。
誰かの予定や事情は守れても、自分の生活はボロボロになっている、ということに。
- 食事は適当になり、寝不足が続く
- 夢中でやっていたはずの音楽も、いつの間にか「義務」に変わっていく
- ひとりになると、わけもなく虚しくなって泣きたくなる
それでも、断るのが怖くて、ぼくはしばらく同じように動き続けました。
境界線を一本引いた日
そんな中で、転機になったできごとがあります。
ある日、どうしても外せない用事がある日に、いつものようにシフトの穴埋めを頼まれました。
いつもなら反射的に「大丈夫です」と答えていたと思います。
そのときだけは、喉元まで出かかった返事を飲み込んで、こう言いました。
その日は、どうしても外せない用事があるので、今回は難しいです。すみません。
たったそれだけの一言です。
でも、そのあと心臓がバクバクして、変な汗をかいて、しばらく落ち着きませんでした。
ところが、返ってきた相手の反応は、拍子抜けするほどあっさりしていました。
- そっか、それなら仕方ないね
- 他の人に当たってみるよ
世界が終わるどころか、何も壊れなかったんです。
それどころか、しばらくしてから「最近、前より元気になったね」と言われるようになりました。
境界線を一本引いたことで、関係が壊れるどころか、むしろ少しだけ健全になった感覚がありました。
このときに、「境界線は、関係を守るための線なんだ」と、身体で理解した気がします。
よくある問いと答え
ここまで読んでくると、いろいろな不安や疑問が浮かんでくると思います。
いくつか代表的なものを拾って、Q&Aの形で置いておきます。
本当に断っても大丈夫なのか不安です
Q1. 断ったら一気に嫌われたりしませんか
A. 一気に離れていく関係は、もともとあなたの我慢によってだけ成り立っていた可能性が高いです。
もちろん、誰だって嫌われたくはないです。
ですが、次のように考えてみてほしいです。
- 一度断ったくらいで壊れる関係は、あなたの負担の上にだけ乗っている
- 何度か境界線を示しても変わらない相手は、距離を取ったほうが心が守られる
全部の関係を守ろうとしなくて大丈夫です。
長く付き合いたい相手との関係を守るために、短期的な違和感を引き受ける、そのくらいのイメージでいてもらえたらと思います。
Q2. 相手も大変そうなときに断るのがつらいです
A. その気持ちはとても自然です。ただ、その相手も、あなたが倒れてしまうことは望んでいないはずです。
- 本当にあなたを大事に思っている人ほど、「無理をしてまでやってほしい」とは思わない
- いま断ることで、長期的にはもっと支え合える関係を守れる場合もある
いま手伝えないことと、相手を大事に思っていないことは別だと、そっと分けてあげてください。
自分がわがままになってしまうのが怖いです
Q3. 自分を優先することと、ただの自己中心的になることの違いはどこですか
A. 境界線は、自分と相手の両方を長期的に守るために引くものです。相手のことを一切考えなくなったときが、自己中心的に近づいているサインです。
目安としては、次のように考えてみてください。
- 相手の事情や気持ちをゼロにして考えているわけではない
- そのうえで、自分の限界や生活も同じくらい大事にしようとしている
この状態なら、わがままではなく、ようやく自分も登場人物の一人として扱い始めていると言えます。
Q4. 境界線を意識し始めたら、逆に人に冷たくなりそうで怖いです
A. 最初のうちは、振れ幅が大きくなることがありますが、徐々にちょうどいいところに落ち着いていきます。
長いあいだ無理をしてきた人ほど、最初に境界線を引こうとすると、
- 何もかも断りたくなる
- 誰にも頼られたくなくなる
という揺り戻しが来ることがあります。
それは、これまで押し込めてきた気持ちが表に出てきているサインでもあります。
そのときは、自分にこう言ってあげてください。
- 今までずっと反対側に振れていたから、しばらくは逆側に揺れてもいい
- いきなり完璧なバランスを目指さなくていい
時間をかけて、自分が心地よくいられる位置を探していけば大丈夫です。
行動に移すのがどうしてもめんどうです
Q5. 頭では分かっても、結局いつも通りに引き受けてしまいそうです
A. それは、あなたの意志が弱いからではなく、行動のハードルが高すぎるだけです。
人は誰でも、次のようなときに行動しづらくなります。
- 何をすればいいのかが具体的ではない
- 失敗したときのイメージばかりが浮かぶ
- 完璧にやらないと意味がないと思っている
この記事では、あえて一週間に一回だけ断ってみるというレベルにまで落として話をしてきました。
このくらいの小ささであれば、現実の中で試しやすくなります。
全部を変えなくていいので、今日からの一週間で、一度だけ境界線を意識した行動をしてみる。
それだけでも、心の中の感覚が少し変わってくるはずです。
最終判断:どんな優しさを選ぶかの基準
最後に、この記事全体を通して見てきたことを、選ぶ基準としてまとめておきます。
ここから先は、自分で選びやすくするための整理です。
優しさの使い方を選ぶ基準
- 一回一回ではなく、長い目で見て関係を守れるかどうか
- その優しさを続けたとき、自分の生活や健康がどうなっていきそうか
- 感謝されたあとに、素直にうれしいと感じられるかどうか
- その関係の中で、自分の本音を一つでも言える余地があるかどうか
- 自分が倒れたとき、その相手は心配してくれそうかどうか
- その場にいない誰かに、その関係を胸を張って話せるかどうか
これらの基準に照らしてみて、
いまの優しさの使い方が、自分を守りながら続けられるものなのか、どこかで折り合いをつけ直したほうがいいものなのか。
それを、今日ここで一度、静かに考えてもらえたらうれしいです。
今日してほしいたった一つのこと
ここまで読んでくれたあなたに、お願いしたいことは一つだけです。
これから一年間、自分を守るためのレッドラインを一つだけ決めて、ノートかスマホに書き出してください。
たとえば、こんな形で大丈夫です。
- 体調が悪い日の残業は、基本的に断る
- 休みの日は、週に一回は完全オフにする
- 大事な予定がある日の頼まれごとは、基本的に受けない
書き出したら、その行をそっと眺めて、心の中で一回だけうなずいてみてください。
これが、あなたが自分に向けて引いた、最初の優しい線です。
優しすぎるとき、短所のように見えるのは、優しさそのものではなく、線がまだ引かれていないだけです。
線を一本引いたあとも、あなたの優しさはちゃんと残ります。
むしろ、そこから先の優しさのほうが、ずっと長く、温かく続いていくはずです。





